“約12億円”のレクサス「LY680」って? 国産自動車メーカー「最高額の市販モデル」に行われた「カイゼン」がスゴイ! 異次元のラグジュアリーヨットに試乗
価格は約12億円…レクサスのラグジュアリーヨット「LY680」が、徹底的な「カイゼン」を経て進化しています。今回はその極上のキャビンとドッシリとした航行性能を、国沢光宏氏がレポートします。また、クルマの技術を応用して“スマホ操船”を実現した最新ボート「ポーナム31II」にも試乗。日本の自動車メーカーが手がける、最新マリンレジャーの最前線をお伝えします。
12億円! 国産最高峰のヨット「LY680」
今回試乗&紹介するレクサス『LY680』は日本の自動車メーカーが個人向けに販売している最も高価なモデルになる。標準的なスペックなら12億円程度。参考までに書いておくと、ホンダジェットが6億円程度です。
さて、LY680は「レクサスヨット」とも呼ばれる。英語圏だと日本で言う「ヨット」って「セールボート」ですが、大型のパワーボートを「ヨット」と称します。
全長68フィート/20.56mは、日本の小型船舶免許で操船可能な上限サイズになる。24m/20総トンを超えると大型船と同じ免許が必要。搭載されているエンジンはボルボペンタ製12.8リッター直列6気筒のディーゼルで1000馬力となる。

いわゆる船尾から付き出た「スクリュー」でなく。IPSと呼ばれる2重反転のポッドドライブを2基搭載している(1基1億円)。
以上、くるまのニュースの読者諸兄なら気になるだろうスペックを並べてみました。このタイプのヨット、世界的に見ると企業や個人事業主が知人や顧客などを招待し、週末を過ごすために使われる。
宿泊を伴うクルーズなら5~6人。ワンディクルーズだと12名程度(オーナーとクルーを含め定員は15人)しか乗らない。いろんな意味で最もゴージャスなレジャーだと思う。
まさに洋上の高級ホテル
もう少しキャビンの紹介をしておくと、船体前部にオーナー用のマスターベッドルーム。そして後部にメインゲストルーム。この二つはそこらの高級ホテルよりずっと上質で広く「苦しゅうない」クオリティを持つ。もちろんシャワー&トイレ付き。中央部に若いゲスト向けの居心地が良シンプルなベッドルームもある(クルー用のベッドルームはリアデッキ下)。
メインフロアはヘルムシート(操船席)とエアコン完備のリビングスペースになっている。ここで食事&ナイトキャップし、良き時間に自分のキャビンで寝る、という流れ。アッパーデッキは主としてワンディクルーズなどに使う。
造船所を移管し、細部まで徹底的に「カイゼン」された船体
このタイプのフネ(フネ=自動車のことをクルマと称すのと同じような業界表現)に求められる商品性は、快適で安全な航行性能と、ゲストが喜んで貰えるゴージャスなキャビン、そして信頼性である。
一つでも欠けたらフネに詳しい人から「イマイチだね」と言われてしまう。クルマだったら誰もが認めるフェラーリであり、ロールスロイスでありベントレーじゃないとならない。

といった点で『レクサス』は新興メーカーのため、フネの世界だと評価が定まっていない。実際、LY680の前身であるLY650ってレクサス初のヨットだったこともあり、オーソリティからの評価は「エクセレント」と言えなかった。
開発陣も世界の名艇を見てカイゼンが必要ですね、と思ったに違いない。LY680の開発にあたり造船所をアメリカから細かい仕上げを得意とする台湾に移転。
とっても残念ながら私はこのクラスのフネと縁がないけれど、LY680を見たら「ずいぶん進化しましたね!」。細かい部分の作り込みなどにカイゼンされた部分多数。聞けば船体(フネ業界でハルと呼ばれる)まで変更したという。ここまで読んで「なぜ日本で作らないのか?」と思うだろう。悲しいかな我が国には高額のヨットを作れる技術も造船所も存在しない。
ビギナーでも安心? 巨体をジョイスティックで操れる
長い前置きになった。試乗と行きましょう。離岸はジョイスティックで操船する。右に倒せば平行移動。捻るとその場でグルリと回る。68フィートのフネにとって広いと言えない逗子マリーナの港内ながら、少し慣れればビギナーも自由自在にコントロール出来ると思う。マリーナを出て定置網やタコ壺という「トラップ」が無くなった海域でヘルムシートに座る。
広い海域に出ればフネの操船は容易。だからこそ船長の監視の下、免許の無い人も操船が認められている。使うのはスロットルとハンドルのみ。いや、クルーズ中は速度も変えないため、ハンドルだけでOK。停船状態から少しずつ速度を上げていく。とりあえず私の好みである20ノット。このクラスのフネで一番重要な直進性は良好! チョロチョロせずドッシリ走る。

ステアリングを切ると、シャープでこそないものの確実に反応してくれる。景気良いのだろう。世界規模で見ると80フィートくらいまでのヨットも小型だと言われ始めた。そんなことからパワーボートみたいにシャープな操縦性を持つヨットも増えてきた。
一方、日本だとプレジャーボートとして考えたら最大級。LY680のようにドッシリ走る方が好ましいと私は思う。
航行中キャビン内にも入ってみたが、静粛性は向上しており快適。加えてレクサスなのでアフターメインテナンスだって完璧だ。フネ業界はこのあたりが怪しい。売ったフネなのに面倒見てくれないケースだってある。
私も今持っているフネが6艇目だけれど(うち外国艇3艇)、アフターを考えたら次は絶対日本ブランドだ。このクラスのフネに乗り換えるなら、ショッピングリストのTOPでいいかと。
スマホで離着岸!? クルマの技術を応用した「ポーナム31 II」
マリーナに戻り、続いてマイナーチェンジした『ポーナム31 II』に乗る。全長10.5mの艇体に250馬力の2.8リッター4気筒ディーゼルを2基搭載。価格はベースで6110万円。今回試乗した上級装備を加えた乗り出し価格だと8000万円程度を考えておけば間違いない。
ポーナム31 IIの面白さは、ジョイスティックに加え、スマホでも操船出来るところにある。

このクラスのフネだと離着岸をオーナー1人で行うことも多い。スマホで操作できると、係船ロープの自分で外して離岸。マリーナを出たところでヘルムシートに行けばいい。着岸もマリーナの入り口でボラートのある場所に行き、スマホで操船しながら静かに着岸。
ゆっくりロープを繋げばいい。開発担当者に聞いたら「クルマの技術を応用しました」。フネも進化しますね!
Writer: 国沢光宏
Yahooで検索すると最初に出てくる自動車評論家。新車レポートから上手な維持管理の方法まで、自動車関連を全てカバー。ベストカー、カートップ、エンジンなど自動車雑誌への寄稿や、ネットメディアを中心に活動をしている。2010年タイ国ラリー選手権シリーズチャンピオン。






































































































