「合格したのに事故る…」実態にメス! 違反歴ある高齢ドライバーの「技能検査」が厳格化!? 警察庁が明かした新方針とは
一定の違反歴がある高齢運転者が運転免許の更新をする際には、「運転技能検査」に合格する必要があるものの、この検査をめぐっては、運転技能が低下し、交通事故を起こしやすくなっている人も合格している実態が指摘されています。そのようななか、警察庁は検査内容の充実を図る方針を明らかにし、これについて意見公募をおこなっています。
運転技能検査の合格者を追跡調査! 事故・違反の状況から浮かび上がった課題とは
現在、75歳以上の高齢者が運転免許を更新する際には、認知機能検査と高齢者講習を受ける必要があります。
さらに、過去3年間に信号無視や速度超過、携帯電話使用等など一定の交通違反歴(11類型)がある場合には、上記に加え「運転技能検査」を受検し、これに合格しなければ、原則として免許更新ができません。
この運転技能検査では、運転者が指示された速度による走行や、段差に乗り上げた後、ただちにアクセルペダルからブレーキペダルに踏み換えて安全に停止することができるかなど、複数の課題をおこないます。
なお、採点は100点満点からの減点方式で、運転中に危険な行為があった場合は、その危険性に応じて減点され、第一種免許については70点以上、第二種免許については80点以上で合格となります。
つまり、運転技能検査は、加齢などによって運転技能が明らかに低下し、安全な運転が難しいドライバーに免許を更新させないための仕組みといえます。
しかし、運転技能検査をめぐっては、2026年6月25日に警察庁が「運転技能検査合格者の追跡調査の結果等について」という資料を公表し、運転技能が低下して交通事故を起こしやすくなっている高齢者が運転技能検査に合格している現状について指摘しました。
同資料によると、運転技能検査受検後2年間の交通事故や交通違反の状況を追跡調査したところ、10万人当たりの交通事故件数と交通違反件数は、運転技能検査の対象ではない高齢者と比べて高かったことが分かりました。
たとえば、運転技能検査を受けた人の交通事故件数を年齢層別にみると、75~79歳では約4.5倍、80~84歳では約2.3倍、85歳以上では約2.6倍となりました。
また、交通違反件数については75~79歳および80~84歳の年齢層で約1.7倍、85歳以上で約2.2倍高くなることも判明しました。

このような実態を受け、警察庁は専門家などから構成される「運転技能検査の見直しに関する有識者検討会」を開催し、2026年9月3日、運転技能検査の内容について充実を図る方針を示しました。
具体的には、高齢運転者によるアクセル・ブレーキの踏み間違い事故が多いことを踏まえ、ペダル操作の正確性を確認するため、運転技能検査の課題に「方向変換」を追加することとしています。
加えて、運転技能検査の減点項目に「安全不確認」を追加するほか、一時停止をせずに交差点に進入する「一時不停止(大)」に関する減点点数を引き上げる方針も明らかにしています。
そして9月17日には、上記の「方向変換」の追加にともなって道路交通法施行規則の一部を改正することに関し、意見公募(パブリックコメント)の開始を公表しました。
意見公募は10月17日まで実施されています。今後、寄せられた意見などを考慮した上で、道路交通法施行規則の改正について最終的な手続きが進められることとなります。その後、法令は2027年6月1日に施行される予定です。
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警察庁は高齢者の運転をめぐり、「有識者検討会の報告書の内容などを踏まえ、法令の改正や、高齢運転者による事故防止を図るために必要な措置を講じる」としています。
高齢運転者の事故を防ぐためには、ペダルの踏み間違いによる急発進抑制装置といったクルマの安全機能を充実させるほか、状況に応じた運転免許証の返納促進、高齢者が利用しやすい公共交通機関の整備や移動手段の確保など、さまざまな側面から対策を検討していく必要があります。
Writer: 元警察官はる
2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。










