ホンダ斬新「“2列6人乗り”ミニバン」に大注目! 「シエンタ」級の“ちょうどいい”サイズに「前列“3人横並び”シート」搭載! “革新的”すぎる「独創レイアウト」採用で“自転車”も3台積める「エディックス」とは!
かつてホンダには、前列に3人が並んで座れる異色のミニバン「エディックス」が存在しました。革新的なパッケージながら販売は1代限りの約5年。前席中央の“1.5列目”という独創発想の個性派は、なぜ姿を消したのでしょうか。
ホンダ斬新「“2列6人乗り”ミニバン」に大注目!
ミニバンといえば3列シート。その常識に真っ向から挑んだのが、ホンダ「エディックス」です。
エディックスは2004年7月に発売され、3席×2列の6座独立シート「3×2(スリー バイ ツー)」という革新パッケージを採用していました。
販売期間は2009年8月まで。2005年12月と2006年11月にはマイナーモデルチェンジを受けましたが、フルモデルチェンジには至らず、1代限りで幕を閉じたモデルです。
それでも中身は、驚くほど緻密に練られていました。
7代目「シビック」をベースに、3席×2列の6座を独立させ、前後センターシートをロングスライドさせるV字シートレイアウトを採用。全幅を抑えつつ快適な横3人掛けを実現しました。
ボディサイズは全長4285mmから4300mm×全幅1795mm×全高1600mmから1635mm。全長は現行のトヨタ「シエンタ」の4260mmやホンダ「フリード」の4310mmに近く、短い全長と、当時としては比較的ワイドな全幅の組み合わせが特徴でした。

白眉はフロントセンターシートです。270mmのロングスライドでインストルメントパネルや展開時のエアバッグとの距離を確保し、幅460mm以内の幼児用シートの装着にも対応しました。
後ろへロングスライドさせた前席中央は、前席と後席をつなぐいわば1.5列目の役割を担う存在。隣同士が主体だった車内の会話を、前後で交差する一体感のあるコミュニケーションへと発展させました。
荷室も侮れません。短い全長ながら6名乗車時でも439リッターを確保。リアシートをすべて格納すれば、前席に3名乗車しながら26インチのマウンテンバイク3台を積める最大1049リッターのラゲッジスペースが出現しました。
パワートレインは2種類。2リッターDOHC i-VTECが最高出力156PS・最大トルク188Nm、1.7リッターVTECが最高出力130PS・最大トルク155Nmです。
2リッターのFF車には5速AT、そのほかは4速ATを組み合わせ、それぞれFFと4WDが選べました。
乗員がホイールベース内に収まり前後荷重の変化が少ない3×2の特長を活かし、ワイドトレッドで操縦安定性と乗り心地を両立。発売時の最小回転半径は17X/17X 4WDが4.9m、20X/20X 4WDが5.2mでした。
価格は178万5000円から220万5000円。10・15モード燃費は2リッターFFの「20X」で13.0km/Lです。国内の月間販売計画は4000台と、決して控えめな数字ではありません。車名は編集(edit)と6(six)を組み合わせた造語です。
登場した2004年はミニバン全盛期。トヨタ「ウィッシュ」やホンダ「ストリーム」といった低全高の3列モデルがしのぎを削るなか、あえて2列を選びました。欧州では「FR-V」の名で販売されています。
2006年11月のマイナーモデルチェンジでは排気量構成を2リッターと2.4リッターへ変更し、K24A型2.4リッターDOHC i-VTECを積む「24S」が登場。DBW(ドライブ・バイ・ワイヤ)やダウン量10mmのローダウンサスペンションを採用し、走りの質感を高めました。
24Sの最高出力は162PS・最大トルク218N・m。価格は235万2000円でした。ホンダはこのとき扱いやすいボディサイズと革新パッケージで好評を得ているモデルと位置づけていましたが、月間販売計画は1200台。数字は静かに縮んでいました。
発売後約1か月の累計受注は約6000台と、月間販売計画4000台の約1.5倍に達しました。グレード構成比は2リッターの20Xが55%、1.7リッターの17Xが45%で、小さな子どものいるファミリー層が購入者の中心でした。
走りについても、現在まで「実は走りもイイ」などと評価する声が見られます。ただ、前席中央のシートはドアから離れているため、乗り降りでは不便に感じるという声もありました。
さらに当時はスライドドアを採用した3列シートミニバンの人気が高まっており、より多くの人を乗せられるモデルや、奇をてらわないモデルへとユーザーの関心は向かったのです。
その後2009年8月、エディックスはひっそりと販売を終えました。
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後継車も登場していないエディックスですが、販売終了から長い年月を経た現在も、その独特な3×2パッケージを懐かしむ声や、復活を望む声が見られます。
前席にも3人が並び、家族や仲間とのコミュニケーションそのものをクルマの価値に据えたエディックス。短命に終わったからこそ、ホンダが世に送り出した異色のミニバンとして強い個性を残した1台といえるでしょう。
Writer: 佐藤 亨
自動車・交通分野を専門とするフリーライター。自動車系Webメディア編集部での長年の経験と豊富な知識を生かし、幅広いテーマをわかりやすく記事化する。趣味は全国各地のグルメ巡りと、猫を愛でること。


































