ランドクルーザーと比較してもCX-80の快適さが際立つ

 CX-80の次に3列目が快適と筆者(カーライフ・ジャーナリストの渡辺陽一郎)が思う国産SUVは、トヨタランドクルーザー250/300の7人乗りです。この2車種は、ボディサイズは異なりますが、運転席のペダルから3列目までの長さは同じです。

厳しい制約の中でCX-80の3列目は、SUVとしては快適に造り込まれている

 ランドクルーザー250/300の注意点は、先代型(ランドクルーザー200/プラド)に装着されていた2列目のスライド機能が省かれたことです。開発者は「現行型の3列目は、足元空間に余裕があるため、2列目のスライド機能を装着しませんでした」と述べていますが、3列目に乗員が座る場合、果たして窮屈にならないでしょうか。

 ランドクルーザー250/300に身長170cmの大人6人が乗車すると、2列目の膝先空間は握りこぶし2つ分で、3列目は握りこぶしの半分程度です。これでは3列目が狭いので、やはり2列目にスライド機能を装着して前側に寄せて、3列目の膝先空間を握りこぶし1つ少々には拡大したいところです。

 しかもランドクルーザー250/300の3列目は、CX-80と同様に床と座面の間隔が不足して膝が持ち上がり、腰は落ち込みます。さらに2列目の下側に足が収まりにくいので、一層窮屈に感じます。3列目の座面は、腰を包むように工夫されていますが、多人数で乗車するとしても片道30分程度が一つの目安でしょう。

 日産エクストレイルと三菱アウトランダーにも、3列シートの7人乗りが用意されますが、この3列目は荷室に装着された補助席です。両車とも2列目にスライド機能が備わりますが、エクストレイルの場合、3列目を使う時には2列目を大幅に前側へスライドさせる必要があります。膝先空間を握りこぶしの半分まで詰めると、3列目の膝先にも同程度の余裕ができます。

 アウトランダーはさらに狭く、身長170cmの大人6人が乗車すると、2・3列目の膝先空間はほぼゼロです。そしてエクストレイル、アウトランダーともに、3列目は床と座面の間隔が大幅に不足しています。狭い空間に膝を抱えるような姿勢で座るため、多人数で移動できる距離は片道15分程度でしょう。

 以上のようにSUVの3列目は、ミニバンと違って基本的に窮屈です。その理由は床面形状にあります。全高が1700mmを超えるミニバンは、床を持ち上げることで燃料タンクの張り出しを抑えて3列目まで平らに仕上げますが、SUVの床面は異なります。3列目の床は燃料タンクの張り出しで高くなり、座面との間隔が減って座ると膝が持ち上がります。この厳しい制約の中で、CX-80の3列目は、SUVとしては快適に造り込まれています。

 3列シートのSUVを選ぶ時は、販売店の試乗車や展示車を使って、3列目の快適性も確認しましょう。その時には、前述のライバル車と比べると分かりやすいです。

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