クラッシャブルゾーンをしっかりつぶし、乗員の生存空間を残す

 さて、具体的にはCX-80においてどんな方法で3列目の安全性を高めているのでしょうか。

法規を上回る厳しい社内基準をクリアし、衝突時にしっかりと生存空間を残す設計となっているCX-80

 根底にある考え方は、クラッシャブルゾーン(衝撃を受けたときにつぶれてエネルギーを吸収するゾーン)をしっかりつぶし、乗員の生存空間を残すというもの(これは後ろから追突されたときだけでなく、前や横方向の衝突も同様)。この考え方に基づいて車体が設計されているのです。

 CX-80において注目すべきポイントは、リアフレーム。テーパー形状とすることで、後ろから順に高い荷重を持続的に出せるようになり、より高いエネルギー吸収効率を達成しました。

「テーパー形状によりエネルギー吸収効率は従来の2倍に向上。さらに、軽量化にも寄与しています。車両重量自体が増えると衝突安全を達成するのが難しくなりますが、このフレームの採用により最小限の重量アップとエネルギー吸収効率の向上を両立しました」とマツダのエンジニアは言います。

 またバンパーの内側にあって構造材としては車両最後部への装着となる「バンパーレイン(耐衝突部品)」もポイントです。

 衝撃を吸収する役割を持つ(主にバンパーレインを車体に取り付ける部分にある部品が担う)だけでなく、硬い鉄を使った強固なつくりとすることで、オフセット衝突時に入ってくるエネルギーを非衝突側(左側へ衝突された際は反対の右側)へも伝え、車両全体で衝突エネルギーを受け止める仕掛けとなっているのです。

 なんだか難しい話になってしまいましたが、ポイントは、マツダが国内や北米の法規を上回る厳しい社内基準を設け、衝突時にしっかりと生存空間を残す設計としているということ。当然、それを満たすCX-80は3列目の安全性を高いレベルで持っているのです。

 しかしマツダのエンジニアは「マツダ車が求める安全は、実際の事故における死亡/重傷者をゼロにすること」と言います。後突も含めて衝突安全における基準はいろいろありますが、それは実際の事故をフォローできる一部にしかすぎません。

 事故にはさまざまな要素が絡み、多くのパターンが存在します。高い基準を満たすのは当然ですが、そのうえで基準の範囲外もしっかりフォローして万が一の事故にあっても乗員を守ろうと開発者は努力しているのです。

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