低回転トルクの太さが際立つモーター付きディーゼル「XDハイブリッド」

 いっぽうでモーター付きディーゼルである「XDハイブリッド」は、排気量3.3リッターの6気筒ディーゼルターボで最高出力254ps/最大トルク550Nmのエンジンに16.3ps/153Nmのモーターが加わります。6気筒らしい滑らかさと、低回転トルクの太さはさすがですね。

エンジンと8速ATの間にモーターを配置した、マツダ独自のマイルドハイブリッドシステム

 魅力は、燃費がいいこと。モーターが組み込まれることでエンジンが苦手な(効率が落ちる)領域をサポートするとともに、アクセルオフ時やアクセルをわずかしか踏んでいない状況など走行中のエンジン停止範囲が増え、燃料を節約できるというわけです。

動力性能に不満なし コスパ最高なモーターなしディーゼルの「XD」

 ではモーターなしディーゼルの「XD」はどう違うかといえば、確かに燃費は若干悪化します。しかし、高速道路を淡々と走れば20km/Lに届くこともある実燃費は十分に優れていると判断できるもの(XDハイブリッドは同じように走ると20km/Lを超えることも珍しくない)。そのレベルになれば「どちらもすごい燃費」といっていいと筆者は考えますが、いかがでしょう?

 また、モーター付きのほうが加速の力強さがあるのも事実です(これはモーターの有無だけでなく231ps/500Nmに抑えたエンジン特性の違いもある)。とはいえ、「真剣に比べれば違う」という程度で、劇的に差があるわけではありません。むしろ、高回転で盛り上がる特性としたモーターなしディーゼルの加速感のほうが好みという人もいるでしょう。

直列6気筒ディーゼルエンジンは、パワフルかつ俊敏な走りと優れた燃費性能を実現した

 というわけでベストバイはどれか? 筆者のオススメは、モーターなしディーゼルの「XD」です。動力性能に全く不満がないし、それでいて「XDハイブリッド」に比べると約75万円も安く買えるのだからコスパに優れています(モーター付きディーゼルは全車4WDなので、4WD同士で比べると約50万円差)。

 また、筆者の乗り比べの印象では、パワートレイン別で最も乗り心地がいいのはモーターなしディーゼル。ほかのパワーユニットに比べて車両重量が軽いのがその理由と思われます。それも「XDを選ぶべき理由」となり得るでしょう。

 ただ、残念なのは「XD」だとスタイリングでモーター付きディーゼルやプラグインハイブリッドとの差があること。「XD」はタイヤ周囲や車体下部の樹脂部品が無塗装で“黒”ですが、「XDハイブリッド」や「PHEV」はボディ同色塗装となり、より洗練された上質な印象となるのです。ここが悩ましいところです。

「XD」はタイヤ周囲や車体下部の樹脂部品が無塗装となる

 というわけで筆者の結論として、イチオシは「XD」。しかし「『XDハイブリッド』や『PHEV』を買えば、素のディーゼルに対して追加出費しただけの満足感はしっかり得られる」のもまた間違いないところ。つまり、パワートレインに関してはどれを買っても“失敗はしない”というわけです。

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