CX-30の他社にはないアドバンテージとは?

 それはクリーンディーゼルエンジンです。何を隠そうCX-30は、同じクラスの国産ライバル車のなかで唯一のディーゼルエンジン搭載車なのですから。

 ディーゼルエンジンのメリットは燃費がよいことです。加えて燃料となる軽油は単価が安く、燃費との相乗効果で燃料代を抑えることもできます。そして低回転トルクが太いため、走りが力強くなります。

CX-30に搭載されるSKYACTIV-D 1.8 クリーンディーゼルエンジン。130ps/270N・mを発生する

 久しぶりに筆者(工藤貴宏)がCX-30に試乗してまず感じたのは、発進加速が力強くて速度のノリがよいこと。さらに追い越し加速などでも頼れる感じがして、ガソリン車とはまるで違いました。ぜひ一度味わってみてほしい!

今回試乗したのはXD TuringのAWDモデルで車重は1540kg。その重さを意識させないディーゼルならではのトルクフルな動力性能を体感できた

 なかには「ディーゼルだと音がうるさい」と心配する人もいるかもしれません。たしかにアイドリング時はディーゼル特有のガラガラ音がします。しかし、走り出してしまえば全く気にならないというのが率直な感想です。

 もっとも、筆者は2台続けて延べ8年近くディーゼル車を所有していますが、音をはじめ欠点が気になるようだったら「2台目のディーゼル車所有はなかった」ことでしょう。

エンジン側だけでなく車体側の静粛性への対策も万全。いざ走り始めると音質面でディーゼルへのネガは感じられなかった

 オーナーとして全く気にならないうえに、ディーゼル車の魅力にはまったから、ディーゼルからディーゼルへ乗り換えたのです。ディーゼル車は、乗れば本当に魅力的なんですよね!

ハンドル操作に対して忠実な車体の動き

 さて、操縦安定性もCX-30の美点でしょう。旋回中の安定感など、仮に峠道であっても気持ちよく走れます。つまりハンドル操作に対して車体の動きが忠実なのです。

コーナーでは特に高い動的性能を感じられる

 たとえば峠道を曲がっていて、コーナーの奥に到達した際、「予想よりも大きく曲がっていたな」といった時でも、ハンドルを切り足せばしっかりと素直に進路を変えてくれる感じがよいのです。

 この動的性能は、運転が好きな人なら絶対に楽しいと感じるポイントでしょうし、そうでなくても「なんとなく運転していて安心できる」という気持ちにさせてくれることでしょう。操縦性に関しては、マツダ車全体に共通する美点ですね。

 乗り心地も十分に優れていて、ロングドライブでの疲れも少ないことを実感できました。

ハンドリングもよく、ロングドライブでも疲労感が少なく楽しくドライブできた

 CX-30のパワートレインは、今回試乗した排気量1.8リッターの「SKYACTIV-D」と、2.0リッターのガソリン自然吸気エンジンにマイルドハイブリッドシステムを組み合わせた「e-SKYACTIV G」の2タイプがあります。

 マイルドハイブリッドはディーゼルに比べ、価格が控えめなのがポイントです。一方でディーゼルは25万円程度高くなってしまいますが、先述のとおり燃費の良さだけでなく力強い走りをもたらしてくれます。その判断は、クルマに何を求めるかを優先して考えればよいでしょう。大切なのはユーザーとの相性ですから。

CX-30を“楽しむ”筆者

念押ししたいディーゼルエンジンの魅力!

 気が付けば「スカイアクティブXエンジン」や「マニュアルトランスミッション(MT)」が選べなくなってしまったCX-30。しかし乗ってみると運転しやすく、実用性と優秀なパッケージングのおかげで運転が楽しいことを再確認しました。そして、国産同クラスでは唯一の選択肢となるディーゼルエンジン搭載車である点も、重ねて念押ししておきます!

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