速度でエンジン再始動方法が変わる!? 試乗して感じた「違い」とは

 そもそも、どのような状況での走行中にエンジンが再始動するのかというと、それはアクセルから足を離し、ガソリン節約のためにエンジンが停止した後でアクセルを踏み足した際など。いわゆるコースティング走行(エンジンを止めての空走)からの復帰でエンジンをかける際に、通常のCX-60はモーターで行いますが、トレッカーでは状況に応じてスターターを活用するというわけです。

センターディスプレイに表示される燃費履歴。速度でエンジン再始動方法が変わる制御のよう

 実際に走ってわかったのは、速度によってエンジン再始動方法が異なるということでした。速度が高い領域(高速道路においてもエンジンが停止することがあります)ではモーターを使ってエンジンを再始動する一方、速度が低くなるとスターターモーター始動に切り替わったのです。

 具体的には、基本的に40km/h未満はスターターによる再始動、40km/h以上はモーターによる再始動となっています。しかし40~49km/hにかけては、減速度合いなどによってスターターを活用することもあるようです。試乗した実感としては、再始動がモーターによるものなのかスターターによるものなのかは、はっきりとわかります。

タコメーター(左)を見ていないと、駆動用モーターによる再始動はわからないかも

 正確にいえば、モーターによる再始動はタコメーターを見る必要がありますが、スターターの場合は、タコメーターを見なくても、よくわかりました。モーターとスターターとでは、エンジン再始動時の音が違うのです。

 まず明確にしておきたいのは、スターターによるエンジン再始動時、ショックや振動はまったくないということ。「上手に制御をつくり込んでいるな」と、筆者は素直に感心しました。一方で「キュルキュル……」というセルのある作動音がします。大事なことなので繰り返しておきますが、ショックはまったくありません。

スターターによるエンジン再始動時でも、ショックや振動はまったくない

 逆にモーターによる再始動時は無音でした。決して大げさではなく、タコメーターを見ていなければエンジンが再始動したことに気付かないでしょう。

 すなわち、燃費が良くなることのトレードオフとして、低速域のエンジン始動時には耳障りな音がしてしまう。それが新しい制御の真実と言えます。

スターターによるエンジン再始動制御はオーナーの好みにあわせ切り替え可能

「だったら少しくらい燃費が悪化しても、静かなほうがよい」と思う人もいることでしょう。安心してください。マツダはそこもしっかり手当てしていますので、トレッカーを敬遠する必要はありません。

センターディスプレイの車両設定機能で、エンジン再始動制御(モーターのアシスト)のON/OFFが選択可能

 センターディスプレイの車両設定機能から、スターターによるエンジン再始動制御を「しない」という選択も可能です。これを選択するとCX-60の他のグレードと同じように、走行中のエンジン再始動が常に駆動用モーターで行われます。

「CX-60」の特別仕様車「XD-HYBRID Trekker」(トレッカー)

 オーナーの好みによって、2つのモードへ切り替えできる。トレッカーに組み込まれた新しい燃費向上制御は、そう捉えるとよいのではないでしょうか。

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