どことなく感じるCX-5「フィールドジャーニー」っぽさ
2024年末、商品改良で「CX-60」へ特別仕様車として追加された新グレード。それが「XD-HYBRID Trekker」(以下、トレッカー)です。
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ベースとなったのは、マイルドハイブリッドディーゼルのパワートレインを搭載する「XD-HYBRID Exclusive Sports」ですが、大きなトピックの1つはボディカラーでしょう。国内向けのCX-60では、このグレードだけが選べる特別な色として、鋳造の砂型をイメージしたレトロな色調である「ジルコンサンドメタリック」が用意されているのです(他のカラーも選択可能)。

実際にジルコンサンドメタリックを身にまとった車両を前にすると、都会的なCX-60のとは少し方向性の違う、アウトドアっぽい雰囲気を感じます。CX-5からは特別仕様車として、大自然の力強さに引けを取らないタフさを表現した「フィールドジャーニー」が展開されていますが、まさにこのようなテイストですね。

トレッカーは装備も特別です。パノラマサンルーフを標準装備するのに加え、日本仕様としては唯一のパーティションネットも組み込まれています。

パーティションネットとは、急ブレーキ時などに積み荷が荷崩れを起こしたり、前方へ飛び込んだりしないように、荷室と居住空間を区切るネットのこと。必要に応じて着脱可能で、後席もしくは前席の直後にも装着できるようになっています。単にネットが追加されているだけでなく、天井の左右に、通常の日本仕様車にはないフックが組み込まれているのです。
ディーゼルハイブリッドモデルのなかで最も燃費が良い!
そんなトレッカーには興味深いポイントがあります。それは燃費です。なんとトレッカーは、ディーゼルハイブリッドモデルのなかで、燃費が最も優れているのです。
ベースとなっている「XD-HYBRID Exclusive Sports」のWLTCモード燃費値が20.9km/L(サンルーフ装着車)なのに対し、トレッカーは21.4km/L。この差はどこから来るのでしょうか。

その答えはズバリ、走行中のエンジン再始動方法です。通常、再始動はすべてモーター(駆動用モーター)で行うところを、トレッカーでは状況に応じてスターター(スターターモーター)でも行っているのです。
実はモーターでエンジン再始動を行うと、駆動用バッテリーを消費してしまいますが、スターター始動ならば消費するのは補器類用バッテリーです。おかげで駆動用モーターによる走行距離が増え、燃費を伸ばせるという理屈です(ちなみに停止中のエンジン始動には、全車スターターを使います)。

では、そのようなトレッカーのスターターによるエンジン再始動は、スムーズで、通常モデルに対するネガな点は全くないのでしょうか。筆者(工藤貴宏)は実車に試乗する機会を得たので、ちょっと意地悪に試してみました。