フルモデルチェンジなしで8年のロングセラー! それでも売れ続ける理由
日本で最も多く販売されているマツダ車はCX-5です。現行型が発表されたのは2016年(納車開始は2017年)で、すでに8年が経過しています。それでも2025年1〜9月の販売統計では、CX-5はコンパクトカーのマツダ2以上に売れ、マツダの国内ベストセラーカーとなっています。
CX-5の販売が好調な理由は、その高い商品力にあります。
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なかでも注目されるのが、直列4気筒2.2リッタークリーンディーゼルターボエンジンです。最高出力は200PS(4000rpm)、最大トルクは45.9kgf・m(2000rpm)を発揮し、4リッターガソリンエンジンに相当する力強さを実用回転域で引き出します。
WLTCモード燃費は2WDで17.4km/L。軽油はレギュラーガソリンより1Lあたり約20円安いため、燃料代は全長4500〜4700mm級のハイブリッド車と同等です。動力性能の高さと優れた燃費性能を両立している点が、ディーゼル搭載CX-5の大きな魅力です。
SUVはセダンやワゴンに比べて車重が重く、ディーゼルエンジンとの相性が良いとされてきました。ハイブリッドが普及する前には「SUVはディーゼル」という時代もありました。またマツダは“走りの良さ”をブランド価値の中心に置いており、高トルクのディーゼルと熟成された走行安定性の組み合わせは、マツダ車らしさを象徴します。
特別仕様「XD Drive Edition」の装備はお値段以上に充実!?
2025年10月には、CX-5をはじめとするディーゼル搭載車に「XD Drive Edition(ドライブエディション)」が追加されました。

CX-5の同グレードでは、ピアノブラックのフロントグリルやドアミラー、ブラックメタリック塗装の19インチアルミホイールなどブラック基調の加飾を特別装備として設定しています。
さらに、衝突被害軽減ブレーキや運転支援機能、ブラインドスポットモニタリング、360度ビューモニター、電動リアゲート、運転席・助手席の電動調整、ベンチレーション&ヒーター、ナッパレザーシート(カラーはCX-5で唯一のディープレッドを採用)など、快適性と安全性を高める装備も充実しています。
これだけの装備を持ちながら、2WDの価格は390万1700円と抑えられています。装備が充実したCX-5を求めるユーザーにとって魅力的な選択肢といえます。

一方で、「本革シートは不要だが実用装備を重視したい」というユーザーには、価格を抑えた「XD Black Selection(ブラックセレクション)」も有力です。345万9500円で、高効率2.2リッターディーゼルと実用的な安全装備を割安に手にできます。
ディーゼルモデルのお得感も人気の理由です。Black Selection同士の比較では、ディーゼルは2リッターガソリンより31万9000円高にとどまります。ガソリンとハイブリッドの一般的な価格差(35万〜60万円)を考えると、ディーゼルの価格設定は割安です。
またディーゼル搭載の「XD Sports Appearance(スポーツアピアランス)」は値下げされ、「Retro Sports Edition(レトロスポーツエディション)」「Field Journey(フィールドジャーニー)」は廃止されました。このようにグレード構成が整理されつつあります。
次期CX-5では選べない“今だけのディーゼル”という価値
これらの動きは、2026年末までに予定されている次期CX-5のフルモデルチェンジを見据えたものです。通常のモデル末期で見られるグレード削減とは異なり、新たにXD Drive Editionを追加したのは、現行で50〜60%を占めるディーゼル需要に応えるためです。

次期CX-5は、2026年の発売時点では2.5リッターガソリンをベースにしたマイルドハイブリッドのみとなり、ディーゼルは設定されません。2027年には新開発の「SKYACTIV-Z(スカイアクティブ ゼット)」を使うフルハイブリッドが加わりますが、2000rpmで45.9kgf・mを発揮する現行ディーゼルならではのトルク感とは性格が異なります。
次期CX-5の価格は未公表ですが、全長・ホイールベースが115mm拡大するため、現行ガソリン車より値上がりする可能性が高いとみられます。結果として、現行ディーゼルと次期2.5リッターマイルドハイブリッドが同価格帯になると予想されます。
そう考えると、現行CX-5のXD Drive Editionは“今選べる成熟したディーゼル”として非常に魅力的です。全長・ホイールベースは次期型より短いものの、後席の居住性や荷室容量に不満はなく、扱いやすいサイズ感も支持されています。

4575mmという扱いやすい全長でありながら必要十分な室内空間を確保している点も、現行CX-5が選ばれている理由のひとつです。次期型が4690mmへ拡大することを考えると、「現行CX-5こそちょうどいい」というユーザーも多いでしょう。
ディーゼルを好むユーザーにとって、現行CX-5 XD Drive Editionは、引き続き強く推奨できる“お買い得な一台”です。ボディサイズは適度で車内は広く、ファミリー層を含め幅広いユーザーに向いています。