魂動デザインを初採用した、初代CX-5

 2025年10月30日〜11月9日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催された「Japan Mobility Show(ジャパンモビリティショー)2025」のマツダブースでは、ロータリーターボエンジンとモーターを組み合わせたPHEVの「MAZDA VISION X-COUPE」と、「親友のようなクルマ」と題するコンパクトカー「MAZDA VISION X-COMPACT」という2台のコンセプトカーが大きな話題となりました。

 そしてもう一台、注目を集めた展示車があります。それが、2025年7月に欧州でワールドプレミアを行ったばかりの新型「CX-5」です。会場には、欧州仕様が持ち込まれました。

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「Japan Mobility Show(ジャパンモビリティショー)2025」のマツダブースで展示された新型CX-5(欧州仕様)

 3代目となる新型CX-5は、パッと見でもCX-5、さらにマツダのSUVだとハッキリわかるエクステリアデザインを持ちますが、よく見ると、2代目(現行型)CX-5とはかなり異なっていることもわかります。

 初代CX-5は2012年に登場。2010年に発表されたマツダの新世代自動車技術「SKYACTIV」と、同年発表の新しいデザインテーマ「魂動 (こどう)~Soul of Motion~」を全面的に採用した初のモデルとなりました。

初代CX-5

 フロントの5ポイントグリル、フロントフェンダー後ろから急な角度で上がるキャラクターライン、三角形のクォーターウインドウ、アーモンド型でヘッドライトと相似形のテールライト、フロントグリルの形状を反復するテールゲートのウインドウなどスタイリッシュなディテールが光り、デビューから13年を経た現在でもあまり古さを感じさせません。2014年のマイナーチェンジでは、細部の変更によって精悍(せいかん)なイメージを強めています。

大胆極まる造形美! ダイナミックさを獲得した2代目

 2016年11月には、ロサンゼルスオートショーで2代目CX-5が世界初公開。同年内には日本国内でも予約が開始され、翌年の2017年2月に発売されました。

 引き続き魂動デザインを採用したエクステリアは、よりその哲学を鮮明に引き出しました。グリルやサイドのウインドウグラフィックなど、基本的なイメージは引き継いだものの、ボンネット先端を前に出し、バンパー部のマスを減らして生まれた「逆スラントノーズ」風となったフロントにより印象は激変。フロントオーバーハングのみならずボンネットも長い「ロングノーズ」のように感じますが、実際には、先代比で15mm全高が低くなった以外、サイドのプロポーションや前後オーバーハングの長さも、初代とあまり変わっていません。

2代目(現行型)CX-5

 彫りが深くなった5ポイントグリルと薄いヘッドライトの下には、新たに「シグネチャーウイング」というメッキの装飾を追加しています。初代はかけ上がっていた窓下のキャラクターラインの代わりに、2代目では、フロントフェンダーの峰がそのままドアに回り込み、かつリアホイールアーチに向かって降りていく大胆な造形に変更。小さくなったテールライトと丸みを帯びたテールゲート形状が、ボリューム感のあるリアセクションを作っていました。

  • 2代目(現行型)CX-5のサイドビュー(左)とリアビュー(右)

 2021年には大きめのマイナーチェンジを実施。シグネチャーウイングの形状や前後の灯火類、フロントバンパー下部の造形などに手が入り、洗練度を増しました。

 2代目CX-5は登場後8年を経ていますが、今なお世界有数の美しいSUVとして、そのデザインは高い評価を受けています。

3代目では魂動デザインを生かしつつ、落ち着いた雰囲気に

 では3代目CX-5のエクステリアデザインは、どのように進化したのでしょうか。

 前述の通り、見た目の印象は誰が見てもCX-5、と思うデザインで、フロントもあまり変わっていないように見えますが、シグネチャーウイングは5ポイントグリル周囲の立体的な形状となり、ヘッドライトからグリルを囲うように、U字型のブラックアウト処理が行われています。グリル下で一度くぼみ、ボディ下部に向かい張り出す形状は2代目から引き継ぎましたが、3代目ではよりそれを強調。どっしり感がアップした半面、逆スラントノーズ感や、フロントオーバーハングの突出感が薄くなりました。ボンネット先端が高くなり、フロントに厚みが出たこともその理由にあげられるでしょう。

3代目(新型)CX-5

 サイドの違いも顕著です。初代と2代目では前のめり感があったウインドウグラフィックは、水平基調に変更されています。特徴的だったサイドの造形は、窓に沿って引かれた肩部の明確なショルダーライン以外は、膨らませたり彫りをあまり入れたりしないシンプルな断面に。ルーフはカーブの曲率がゆるやかに、そしてリアゲートも少し立ち気味となり、全長とホイールベースが115mm延長されてキャビンも長くなりました。そのため、マスのボリュームが後ろよりに移動したように見えます。

  • 3代目(新型)CX-5のサイドビュー(左)とリアビュー(右)

 リアビューもイメージの違いが大きく、丸みを帯びていたテールゲートはフラット気味に。さらに逆反り感を強めたほか、テールライトも横長・水平に変わっています。

 これらの変更により、躍動感を覚えさせた2代目よりも、3代目では全体的に落ち着いた雰囲気や、視覚的な安定感が強くなっているように思います。

 近年のマツダデザインは、CX-60などにも見られるように、流れを感じさせる魂動デザインを生かしつつ、ダイナミック(動的)からスタティック(静的)なたたずまいに昇華しているように感じています。新型CX-5のデザインも、それに準じて進化したといえるでしょう。

※ ※ ※

 新型CX-5初公開に合わせ、エクステリアについて初代からデザインの変遷を追ってみました。魂動デザインの哲学を残しつつ、新しい一面をのぞかせる新型CX-5。街ゆく姿を1日も早く見てみたいものです。

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