マツダの新たな主軸は「e-SKYACTIV G 2.5」マイルドハイブリッドへ
マツダは2012年にミドルクラスSUVの初代「CX-5」を発売して以来、クリーンディーゼルターボエンジンに力を入れてきました。それが近年では、ディーゼル搭載車を減らす方針です。
現在販売されるディーゼルエンジン車は、ラージクラスSUVの「CX-60」や「CX-80」に搭載される3.3リッター直列6気筒に限定され、直列4気筒は廃止されています。
例えば、現行型(3代目)CX-5は、先代では販売総数の約50%を占めたディーゼルを搭載せず、最新の2.5リッター直列4気筒ガソリンマイルドハイブリッド「e-SKYACTIV G 2.5」のみを設定しています(2027年にストロングハイブリッドを追加予定)。
コンパクトクラスSUVの「CX-30」やミドルサイズハッチバックの「マツダ3」も2026年7月の改良時にディーゼルを廃止し、その代わりにe-SKYACTIV G 2.5を加えています。

マツダのディーゼルは、日本では人気が高いですが、海外では排出ガス規制の対応が困難です。そこでディーゼルは規制に比較的対応しやすい直列6気筒に限り、それ以外はガソリンのハイブリッドやマイルドハイブリッドに切り替えています。
そうなると今後のマツダ車で注目されるパワーユニットは、動力性能に余裕のあるe-SKYACTIV G 2.5です。そこでこのパワーユニットを搭載する2モデル、CX-30とCX-5を比べてみましょう。

CX-30は全長が4395mm、全幅は1795mmで、全高が1540mmとSUVとしては低く、スポーティかつ流麗なスタイリングが特徴です。機械式の立体駐車場も利用しやすいうえ、最小回転半径は5.3mで小回りの利きも良好です。
コンパクトで運転しやすいため、CX-30の女性ユーザー比率は23%と高いです。実際には、夫の名義で登録して妻が使うことも多いため、実際の女性使用比率はさらに多いといえるでしょう。
一方、CX-5のボディは、全長が4690mm、全幅は1860mm、全高は1695mmのミドルサイズで、最小回転半径は5.6mです。
CX-5は先代型に比べてボディが大きく、先代型のユーザーが「現行型は車庫に入れにくい」という理由で、CX-30に乗り替えるパターンも見られます。
このようにCX-30はボディがコンパクトで運転しやすいですが、CX-5は室内空間に余裕があります。
身長170cmの大人4名が乗車した時、CX-5の頭上空間は握りコブシ1つ半、膝先空間は2つ半です。この後席スペースは、SUVの中でも広い部類に入り、大人4名が長距離を快適に移動できます。
CX-30の後席は、CX-5と同じ測り方で、頭上空間が握りコブシ1つ分、膝先空間は握りコブシ1つ半です。後席は床と座面の間隔が適度で、乗員の足が前席の下に収まるために4名乗車に支障はないですが、CX-5のような広々感は得られません。
荷室容量も異なります。CX-5の荷室容量は466Lで、CX-30の430Lを上まわります。荷室長にも余裕があり、荷室の床が平らになるように工夫すれば、車中泊にも使えるでしょう。
CX-30の発売は2019年、現行CX-5は2026年ですから、装備にも差があります。
液晶メーターパネルは、CX-5は10.25インチと大きく、運転支援機能などを含めて多彩な情報を表示します。CX-30は7インチです。
インパネのセンターディスプレイは、CX-5では、ベーシックグレードの「S」と中級グレードの「G」が12.9インチを装着し、上級の「L」は15.6インチです。
CX-30は、ベーシックな「20C」は8.8インチで、それ以外は10.25インチですからCX-5よりも小さいです。
同じエンジン+6AT! CX-30とCX-5の走りのキャラクターの違いとは?
2.5リッターマイルドハイブリッド“e-SKYACTIV G 2.5”の動力性能は、CX-30とCX-5ともに同程度です。
車両重量はCX-30の「25L」と「25エアーエディション」が1470kg、CX-5のGとLは1670kgです(ともに2WD)。
CX-30は200kgの軽さも影響して、動力性能に少し余裕があります。

いっぽうでCX-30にあらためて試乗してみて気になったのは、6速ATの変速ショックです。CX-5に比べて、少し滑らかさに欠ける印象でした。
全高はCX-30が1540mmで、CX-5の1695mmに比べると155mm低いため、重心も下がりました。運転感覚は軽快で、SUVというより、マツダ3のようなハッチバックに近いです。4輪の接地性も優れ、峠道を走った時の安定性も良好です。

CX-5はボディが重く、全高も高いため、CX-30のような軽快感はありません。それでも設計が新しく、走行安定性はSUVの中でも高い部類に入ります。
下り坂のカーブで危険を避ける操作を行っても、車両の進行方向が確実に変わり、後輪がしっかりと接地しているので安心できます。
CX-5はステアリングの支持剛性も高く、ステアリングホイールを回し始めた時から、進行方向が確実に変わります。ドライバーが車両との一体感を得やすく、運転の楽しさを盛り上げます。
乗り心地はCX-5が快適です。時速40km以下では少し硬く感じますが、路面からのショックを直接的には伝えません。速度が高まると、さらに快適になります。
その点でCX-30は、運転感覚は軽快でスポーティですが、乗り心地はCX-5に比べて少し粗く感じます。

以上のように、CX-30は機敏でスポーティな運転感覚が特徴で、2名以内の乗車に適しています。
CX-5は居住性や積載性が優れ、ファミリーカーにピッタリです。運転感覚と乗り心地も上質で、設計が新しいために装備も進化しており、CX-5は全般的に優れた特徴が多いです。
カタログ燃費は、CX-30にe-SKYACTIV G 2.5を搭載した2WDモデルが15.5km/Lなのに対し、CX-5の2WDは15.2km/Lです(ともにWLTCモード燃費)。
ボディの軽いCX-30が優れていますが、0.3km/Lに留まります。空気抵抗や各種の燃費対策により、設計の新しいCX-5が進化したからです。
※ ※ ※
最後に、e-SKYACTIV G 2.5同士で装備と価格を比べてみましょう。
CX-30の25L(2WD・341万円)と、CX-5のG(2WD・352万円)は価格設定も近いです(価格は消費税込、以下同)。

この2グレードで比べると、CX-30 25Lの装備が充実しており、CX-5 Gが標準装着していないスマートブレーキサポートの前進時左右接近物検知機能、ハイビーム状態を保ちながら対向車の眩惑を抑える「アダプティブLEDヘッドライト」、居眠り運転などを警報するドライバーモニタリングなどを備えています。
これらの装備を価格に換算すると約20万円で、車両価格はCX-30 25Lが11万円安いです。この金額を合計した約31万円が、CX-30とCX-5のボディと先進装備の対価になります。
前述の通りCX-5は、CX-30に比べて、居住性や乗り心地の上質感で勝っています。その対価が約31万円であれば、CX-5が割安と判断できるでしょう。
歴代CX-5が好調に売れた理由も、ディーゼルの搭載と併せて、割安な価格にありました。現行CX-5も、好調に売れ続けるでしょう。
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