人間が感じる「静か」なフィーリングを実現するために

 3代目へとフルモデルチェンジしたCX-5は、全方位での性能向上が図られました。その中でも重視されたのが日常での使い勝手の良さとコンフォート性能です。

新型CX-5の最上級グレード「L」

 実際に試乗してその進化を感じ取ることができたのですが、なかでも優れていると感じたのが静粛性でした。開発チームに話を聞いてみると、乗員に静粛性の高さを感じさせるため、「あえて音を出す」というこれまでになかったアプローチをとっていることが分かりました。

 今回の新型CX-5で、乗員が「静粛性が優れている」と感じられるように行われたのが、音の均一化です。これまでは単純に車内へ入ってくる音を小さくするというアプローチが主流でしたが、開発チームは音圧や音量をできるだけ均一化することに注力しました。

新型CX-5はあらゆるシーンで静かさが際立って感じられた

 そのヒントは先行技術開発にあったといいます。やみくもに音圧を下げても人間が「静かだ」と感じる度合いは向上しなかったそうです。

 しかし、音圧の均一化を実施すると体感的な心地よさが増し、人間が静かだと感じる度合いが大きくなったとのこと。このような先行技術開発での発見が、今回のCX-5に生かされることとなりました。

静粛性の高さは快適さにつながる(写真:マツダ公式サイト)

 この音の均一化を図る取り組みは、人間の感覚に基づく発見であるため定量化していくのが難しかったそうですが、開発陣はそれを実際の技術として落とし込むために尽力しました。

音を均一化するために「音を出力する」

 新型CX-5において心地よい静粛性を実現するため、開発陣はまず、乗員が座った際の耳の位置に複数のマイクを設置し、音の流れを把握することから始めたそうです。

 そして、そこで取得した複数方向からの音のデータをベースに、音圧や音量の均一化を図るべく、ハードウエアとソフトウエアの両面から開発を行いました。

新型CX-5の最上級グレード「L」の内装。シート表皮は本革となる

 まず、ハードウエアに関してです。単純にグレードの高い遮音材を使うのではなく、グレードの異なる遮音材を、音の均一化を図れるよう戦略的に配置しました。

 次にソフトウエアです。驚くべきことに、人間が感じる静粛性を高めるためにスピーカーから音が出力されています。これは逆位相の音を出力するノイズキャンセリングとは異なり、音を均一化するにあたって「不足している音」をあえてスピーカーから補っているのです。

新型CX-5の中級グレード「G」。グレードを問わず静粛性は高い

 静粛性を高めるためにスピーカーから音を出すとは、通常では考えられないかもしれません。しかし実際に試乗してみると、先代モデルと比べて静粛性が明確に向上しているのを感じます。開発陣に直接話を聞くまでは、まさかスピーカーから音が出力されているとは思いもしませんでした。

 この「音の均一化」という考え方は、今後のマツダ車にも展開していくとのこと。ハードウエア的には大きなコストがかかるものではないと思われるため、これから登場するコンパクトクラスのマツダ車でも高い静粛性を体感できるようになるかもしれません。今後の展開も楽しみです。

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