手間も時間も削減 サビを評価する新システムとは
そしてもうひとつ筆者が気になったのが、「ポータブル・高速サビ評価システム」というマツダ独自の技術です。

クルマはご存じの通り金属で構成される部分が多く、塗装がしっかりしているうちは問題ないものの、塗膜の劣化などによってサビが発生する箇所もあります。各自動車メーカーは金属製のサンプルを用いて、大掛かりな測定機の中で塩水をかけるなど意図的にサビを発生させる状況を作り出し、サビへの耐性の評価を行っています。
ただ、この方法ではサビの発生までに数カ月単位の時間を要するうえ、さらにその状態を評価するのは熟練者の目視によるところも大きく、効率的かつ正確な測定をするという点では課題がありました。

そこでマツダはこれまでのサビ評価で得たノウハウを活用し、短時間で測定できる持ち運び可能な「ポータブル・高速サビ評価システム」を開発。システムはビデオデッキ大の直方体をした機器です。
これを用いると、1回の評価を数分程度で実施できるだけでなく、バッテリー内蔵のポータブル機器とすることで、すでに完成している建築物や橋、鉄塔などの評価も可能となります。さらに測定データをクラウド上のサーバーに蓄積することで、評価を実施すればするほど精度が上がるというメリットも得られます。

2025年5月時点では外部への提供を含め、どのように運用していくかは検討段階とのことですが、会場でも注目度は高く、これがマツダ以外のメーカーやその他の業種に横展開されることがあれば、コスト削減にもつながることは間違いないでしょう。まわりまわってユーザーが手にするクルマの価格を抑えることにもなりそうですから、今後の展開に期待したいところですね。