開発メンバーが登場!「ロードスター12R」の開発秘話

 2025年1月10日から12日に開催された東京オートサロン2025のマツダブースにて、「MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER」が市販予定モデルとして公開されました。そのなかで「MAZDA SPIRIT RACING SPECIAL MODELの開発秘話」というお題で、開発関係者によるトークショーがおこなわれました。

現在NDロードスター開発主査の齋藤 茂樹 氏

 壇上には「MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER 12R」の開発に関わるロードスター主査の齋藤 茂樹氏、12Rのエンジン開発担当の村中 宏彰氏、S耐での12号車ドライバーも務める開発ドライバーの川田 浩史氏の3人が登場し、注目を集めるロードスター12Rの開発の最新状況が語られました。(以下、敬称略)

  • パワートレイン開発本部 エンジン設計部 村中 宏彰 氏
  • ファクトリーモータースポーツ推進部 S耐12号車ドライバー 川田 浩史 氏

(齋藤)「ソフトトップに皆さんお待ちかねの2リッターエンジンを積んだモデルをお届けします。目の前にある(会場内に展示されていたポリメタルグレーメタリックの個体)は184馬力の仕様となり、これがベースとなります。こちらを台数限定にするか、販売期間限定にするかは今ちょっとまだ検討中ですが、できるだけ多くの方にお届けしたいという風に考えています」

「そして壇上にある(エアログレーメタリックの個体)こちらはベース車に対して、エンジンを+16馬力アップの200馬力化しています。さらに専用のバケットシートを装着しており、ちょっとレーシーな感じの車になっています。こちらは台数200台限定で、価格が700万(円台)後半ということで販売を予定しており、今回この2台をご提案させていただきます」

  • 会場には2台のロードスターが展示されており、2種類の「MAZDA SPIRIT RACING」仕様のロードスターが用意されることが紹介された

(齋藤)「開発コンセプトはシンプルで、街中からサーキットまで楽しめるライトウェイトスポーツカーというものです。マツダスピリットレーシングとしてモータースポーツ活動を開始しており、特に今熱を入れてるのがスーパー耐久レースで、ここで培った技術や知見を、しっかりと量産車に織り込んで体感していただける車をお届けしようということで、まず第1弾としてロードスターをベースに開発することになりました」

「やはりレースの車というと、どうしてもサーキットに合わせたとんがってしまう車になってしまうんですね。ただ、マツダのバッジをつける以上、マツダが1番大事にしてる人馬一体、人間中心の車作り。ここだけは絶対に譲りません。ここをしっかり作り込む。つまり、われわれが日常で運転をする、日常のシーンで最高に楽しい車。これを確実に確保しながら、かつサーキットに持っていっても楽しい…これは相反するものですが、この領域を今回うまくバランスさせて、最高に楽しい車を作ろうというのが今回のコンセプトであり、われわれとしては新しい挑戦になります」

齋藤主査とロードスター12R

(齋藤)「そういう車を作る上でですね、やはりクルマは人が作るものなので 社内のエキスパートをこちらから指名してお願いをして、人を集めてタスクチームを作って今開発を行っています。先ほど紹介した川田は、NDロードスターの初期から操縦安定性を担当したエキスパートで、レース活動にもエンジニアとして参加して、今回さらにスーパー耐久レースのドライバーとしても引き抜かれてですね。特にロードスターで1番大事なハンドリング、ここはもう川田が1番知っているし、レースも知ってるし。いうことで、今回無理言って引っ張ってきてもらいました。」

(川田)「めっちゃ褒められてますね。こういうのことはなかなかないです(笑)。ありがとうございます。」

トークショーは終始和やかなムードのなかで進む

(齋藤)「最終確認する試作車が昨年11月の頭にできました。まさにその車を使って開発を今行っている真っ最中ですね。今年の春ぐらいを目標に、まさに今いろんな実験部隊が評価、チューニング、確認をおこなっている最中です。その11月にクルマができたタイミングで、関係者を集めて岡山国際サーキットで社内の試乗会をおこないました。美祢や三次の試験場では分からないところを確認するために、サーキットでおこなう、ここがポイントです。もともと美祢はサーキットだったのですが、マツダがテストコースとして利用するために買い取ったあとに、路面を(一般道路と同じようなものに)全部張り替えたのです」

  • トークショーでは、2024年11月に岡山国際サーキットで実施された試乗会の様子も一部公開された

(齋藤)「試乗会では僕も乗せてもらったんですけども、 いやほんと、びっくりするぐらいよくできていて、ロードスターってこんなに速く走れるんだっていうのと、これだけ飛ばすともっと楽しいなっていう、ロードスターが持っていたもう1つの新たな世界がですね、そこにはあったんだなっていうのを自分で実感してですね、感動しました」

「もちろん乗ってみると全然違うのですが、乗る前からもう違う世界なんですよ。 今回改めてわかったんですけど、やはり運転しながら見えるもの、もしくは触る触感っていうのが、この楽しさに効いてくるんだなと。今回マツダとして初めて、アルカンターラっていう素材をステアリングやシフトに採用しました。これが、触感も含めてやはり素晴らしくいいんですよね。で、興奮してたんですけど、それを川田に伝えたら、まだ甘いですねって(笑)」

ステアリングやシフトノブにもアルカンターラ素材が採用されている

(川田)「いやいや、そんな冷たい言い方はしてないです(笑)言われた通り、特別な感じは座った段階からあるんですけど、実際サーキットを走ってみると、まだまだ伸びしろというか、磨かなきゃいけないところはたくさんあるなということで、春を目指して今まだ最終の開発をしているところです」

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PHOTO GALLERY【画像】開発はついに最終段階へ!待望の2L幌仕様のスペシャルなロードスターの細部を見る(65枚)