国内で初めて量産車に歩行者保護エアバッグを搭載したSUBARU
2000年以前のクルマの安全対策では、クルマ同士が衝突するような大きな衝撃を受けたときに、車内の乗員を守るための取り組みが先行していました。
具体的にはシートベルトやエアバッグ、そして衝撃を効率良く吸収するフレーム構造と、乗員を守る強固なキャビンの設計などです。
これらの対策では、歩行者などと衝突した際、歩行者側へのダメージは軽減できません。
しかし、2000年代に入ってからは、各国の自動車アセスメント(自動車の安全性の評価)において、歩行者への被害を軽減するための機構が求められるようになりました。
そこでSUBARUは、バンパーやボンネットを衝撃吸収構造とすることや、歩行者がクルマに乗り上げた際に硬いエンジン周りで頭部を打たないような工夫をしました。
そのような歩行者への被害軽減を目的として、SUBARUが2000年初頭から開発を行っていたのが「歩行者保護エアバッグ」です。
研究開発は着々と進められ、2016年に国産車として初めてSUBARU「インプレッサ」に歩行者保護エアバッグが搭載されました。
実際にどう動く? 歩行者保護エアバッグの仕組み
歩行者保護エアバッグは、クルマと歩行者の衝突事故が発生した際に歩行者の頭部や体を保護するための安全装置です。車両前部に取り付けられたこのエアバッグは、特に歩行者がフロントガラスやAピラー(車両の前部の柱)に衝突した際の衝撃を吸収することを目的としています。
歩行者保護エアバッグは、プッシュエンジンスイッチがONで約25km/h~約60km/hで走行中に、歩行者や歩行者と同じかそれ以上の大きさ、重さの物と衝突したと、車両前方に設置したセンサーが判断すると瞬時に作動します。
エアバッグはボンネット後部から展開され、フロントガラスの下端やAピラーをカバーする形で膨らみます。この間はわずか数ミリ秒で完了し、歩行者が車両に頭部をぶつける前に衝撃を吸収する役割を果たします。
エアバッグが展開されることで、クルマの硬い部分に歩行者などが直接衝突するリスクが低減し、歩行者の頭部や首へのダメージを軽減してくれるのです。
歩行者保護エアバッグの効果として最も重要なのは、頭部外傷のリスクを大幅に低減することです。
特に、車両のAピラーやフロントガラスに頭部を強く打ちつける事故では、脳や首に重大な損傷が発生しやすいため、エアバッグがその衝撃を吸収し、負傷のリスクを軽減するのです。
その結果、歩行者の命を守るだけでなく、重度の障害や長期的な後遺症を防ぐ効果も期待されます。これにより、交通事故による歩行者の被害を最小限に抑えることや、安全性の向上が見込まれます。
今後、より多くの車両に歩行者保護エアバッグが採用されることで、SUBARUが掲げる死亡交通事故ゼロの実現につながり、さらなる安全性の強化が期待されるでしょう。
【動画】これが歩行者保護エアバッグが機能する姿だ!
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