ロードスターオーナーはもちろん、マツダファンなら絶対手に入れたいスニーカー

 2024年秋、ロードスター誕生35周年を記念して生まれた「MAZDA ROADSTER COLLECTION」では、これまでにロードスターとの生活を彩る「クロスボディバッグ」と「ライトウエイトジャケット」を発売しています。今回それに加わったのが、スニーカー「SP-MX5」です。

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「SP-MX5」の開発に携わったマツダの菊地有美子さん(左)、スピングルカンパニーの小畑健さん(中央)、マツダの寺島佑紀さん(右)

 発売を目前に控えた2025年5月23日、東京・南青山のマツダブランド体験施設「MAZDA TRANS AOYAMA」にてメディア向けの取材会が開かれ、商品の先行お披露目と、開発に携わったマツダの菊地有美子さんと寺島佑紀さん、スピングルカンパニーの小畑健さんという3人の作り手たちが製品に込めた思いを語りました。

「SP-MX5」は、スポーティなデザインのレザー製スニーカーで、デザインをマツダのカーデザイナーが担当。歴代ロードスターからのインスピレーションを受けたシンプルかつ美しいフォルムに加え、歴代モデルに採用された豊富なボディカラーを連想させる鮮やかなカラーが特徴です。

  • ホワイト/ブラック
  • ブラック/オレンジ

 選ぶ楽しみを提供するカラーは、アッパーとソールを色分けした2トーン仕様で、「ホワイト/ブラック」、「ブラック/オレンジ」、「ネイビー/ブルー」、「レッド/ホワイト」の全4パターンを用意。さらに全てのロードスターファンに愛用してもらえるように、男女兼用となるXS(22.5cm)~XL(28.5cm)という7つの幅広いサイズを展開しています。

  • ネイビー/ブルー
  • レッド/ホワイト

 第一印象は「カッコいい!」のひと言。ロードスター乗りでなくとも、マツダ車好きの人はもちろんスニーカー好きならば、きっと手に入れたくなるはずです。もちろん、日常使いと運転時の機能性も重視されており、シューズのアッパー素材には、カウレザーに加え、軽くて柔らかい上に丈夫なカンガルーレザーを組み合わせて使用しています。

 さらにアッパーとソールの結合補強のためにスエード素材を採用することで、ドライビングシューズに求められる高い屈曲性や底の薄さ、外甲側の強化を実現したとのこと。

「SP-MX5」は“クルマで走る道、靴で歩く道、この⼀⾜があなたの新しい相棒になりますように”そんな思いを込めて⽣み出された

 ファンを喜ばせたいという思いを感じさせるのが、デザインのアクセントです。タグには、「MAZDA ROADSTER」に加え、海外名である「MAZDA MX-5」も採用しています。さらにゴム製の靴底にも「MX-5」を連想させる「5」がデザインされています。

  • 「MAZDA ROADSTER」と「MAZDA MX-5」の文字が配されたタグ

 そして、シューズとクルマの両方が、日本製であることを示す「MADE IN JAPAN」の文字も。そして、購入時のサプライズとして、パッケージも専用デザイン品となっており、シューズボックスの内外には、歴代ロードスターが描かれています。まさに随所にロードスター愛が込められています。

パッケージには歴代ロードスターが描かれており“遊びごころ”を感じさせる

 コラボ先であるスピングルカンパニーは、広島県府中市に本社と工場を構えるスニーカーメーカーです。その原点となる親会社ニチマンは、1933年に製靴底用ゴム板の製造からスタートした歴史を持つ靴のプロ。自社工場で長年培ってきた職人たちの高度な技術を受け継ぎながら、心地よい履き心地とその時々のはやりに左右されない個性的な製品を送り出しています。同じ広島のこだわりのモノづくりメーカー同士という共通点から、今回の企画が実現しました。

 スニーカーの開発に要したのは、約2年間。まずはお互いの工場見学を行うことで、その歴史とモノづくりの哲学を理解することから始めたと言います。

 当初より開発に携わったスピングルの小畑さんは、若い頃には、多くのクルマを乗り継いだ大のクルマ好き。その車歴には、NA型ロードスターとFC型RX-7も含まれるそう。マツダの寺島さんは、マツダミュージアムで熱心にロータリーハウジングに見入る小畑さんの姿から、「担当者は、この人しかいないと思いました」と楽しそうに振り返ります。

マツダの寺島佑紀さんは小畑さんについて「担当者は、この人しかいないと思いました」と楽しそうに振り返る

 デザイン担当の菊地さんの思いは、「DESIGN LIKE CARS」。つまり、クルマ同様に緻密なデザインを仕上げること。ロードスターのシンプルで美しいフォルムを反映しつつ、足の曲線に沿って柔らかくアーチを描くことで、クルマのスタイリング同様、どの角度から見ても美しく見えるラインを実現しています。

 こだわりポイントとしては、スピングルスニーカーの特徴であるソール部のかかと部の巻き上げを強調することで、アクセルとブレーキの踏みかえをスムーズにしたことと、アッパー部分をかかとからつま先にかけて全体をホールドするデザインとしたことを挙げます。

 さらに菊地さんは、仕上がった試作品をカーデザイン同様に、各部をmm単位で修正し、それを幾度も繰り返すことで、完成品まで仕上げていったそう。時には、スピングルの工場に出向き、製造の担当者と話し合うこともあったそうです。

 ただ同じ工業製品といっても、クルマと靴では異なる点も多いため、当初、スピングル側は、あまりの細やかな修正に戸惑いを感じたこともあったと話します。

「SP-MX5」のこだわりポイントや、完成までの過程について話すマツダの菊地有美子さん

 試作品での作り込みについて、小畑さんは「手作りのスニーカーなので、製品には若干の違いがあります。それをmm単位で修正するのは難しいだけでなく、製造の手間も増えます。ただ菊地さんたちが丁寧にコミュニケーションを図ってくれたことで、その意図が製造現場にも伝わり、職人たちも頑張ってくれました。結果として、われわれにとっても、良い経験になりました」と、マツダとのコラボがスピングルのモノづくりへの良い刺激となったと話します。

小畑健さんはマツダとのコラボがスピングルのモノづくりへの良い刺激となったと言う

 カラーデザインなどを担当した寺島さんは、そのイメージを軽井沢ミーティングの雰囲気と説明します。軽井沢ミーティングは、年に一度、長野県の軽井沢町で開催されるファン主催によるロードスターファンの集いで、全国各地から1000台を超える歴代ロードスターが集まり、会場を彩ります。

 カラーコーデでは、レッドこそ、NA型のクラシックレッドをモチーフにしているそうですが、他の色は、歴代ロードスター全てを意識したとのことです。それでも「オレンジのソールの元ネタは、あの限定車でしょ」などというように、ロードスターファンの想像をかき立てる特徴的な色が盛り込まれているのも、ニクイ演出と感じさせてくれます。

「MAZDA TRANS AOYAMA」では、2025年6月30日まで「CX-60 XD-HYBRID Trekker」と「MAZDA ROADSTER 30周年記念車」を展示中

 価格は、サイズと色を問わず一律で2万6500円(税込み)。スピングルスニーカーの価格の中心は、2万円前半だと言いますから、私(筆者の大音安弘)は比較的お買い得だなという印象を持ちました。

 そのためか、発売から1週間を待たずに、スピングルサイトでは完売。マツダのオンラインショップでも多くのサイズが欠品となっています。しかし、ご安心を。SP-MX5は、限定品ではないとのこと。さらに販売が好調ならば、新色投入などの展開もしていきたいというだけに、今後への期待も膨らみます。

 東京・南青山の「MAZDA TRANS AOYAMA」では、2025年6月22日まで「SPINGLE展」を開催中。SPINGLEのモノづくりに対するこだわりが感じられるアイテムやパネルの展示に加え、「SP-MX5」の試し履きもできます。

 興味がある人は再入荷を待ちつつ、展示会で自身に合うサイズを確認しておいてはいかがでしょうか。

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