2.4リッターターボ搭載の最上級「レヴォーグ」登場

 スバルの世界生産台数は100万台前後と、規模感でいえば世界の自動車メーカーのなかでは下から数えたほうが早いのですが、知名度やブランド力となると、むしろ上位から数えたほうが早いでしょう。

 その理由は、やはりスポーツモデルの存在でしょう。

2.4リッターターボ搭載のスバル「レヴォーグ STIスポーツ R」

 1989年に登場した初代「レガシィ」以降、スバルは走りにこだわりを持ったメーカーとして知られています。

 その流れは現在もまったくブレていませんが、それをけん引するのが「WRX S4」「レヴォーグ」「BRZ」といったスポーツモデルです。

 昨今クルマを取り巻く環境は大きく変化しており、電動化やさまざまな規制などによりスポーツモデルへの風当たりが厳しい時代となっていますが、そんな時代にもかかわらず、どのモデルも途切れることなく次の時代につなげるためにスバルは努力をしています。

 今回はそのなかから、2021年にレヴォーグに追加された「STIスポーツR」について紹介します。

 このレヴォーグ STIスポーツRは、2020年の全面刷新から1年後に実施された年次改良(B型)で追加されたフラッグシップモデル。2.4リッター直噴ターボ(FA24)を搭載します。

 では、1.8リッター直噴ターボ(CB18)を搭載する「STIスポーツ」と何が違うのでしょうか。

 内外装ではSTIスポーツRをアピールする部分はわずかで、フル液晶メーターの左側にブースト計が追加された程度です。

 基本はパワートレインの追加なので差別化は最小限というのもわかりますが、STIスポーツに対して70万円近く高いのですから、オーナーだけの特権があっても良いのではないかと思います。

 例えば、エクステリアは専用加飾や専用デザインのアルミホイール、インテリアは専用メーター表示やレカロ製シート、ハーマンカードン製プレミアムオーディオなどのSTIスポーツR専用装備の設定があるなどすれば、より所有欲も増すのではないでしょうか。

 注目のパワートレインは、新型WRX S4にも搭載される「2.4リッター直噴ターボ(FA24)」と究極のCVTといってもいい「スバルパフォーマンストランスミッション(SPT)」の組み合わせです。

 スペックは275馬力/375Nmと、CB18(177馬力/300Nm)に対して+98馬力/+75Nmの余裕がありますが、先代の2リッター直噴ターボ(FA20:300馬力/400Nm)と比べると減少しています。

 スペック重視の人はガッカリするかもしれませんが、実際に乗ると「数値」より「本質」を重視していることがわかります。

 具体的には、FA24はFA20のウィークポイントだった、アクセルを踏んだ際の応答性や過給の段付きを解消。ドライバーの操作に対して忠実かつ俊敏な加速をします。

 これは400ccの排気量アップを活かした実用トルク(とくに過給前のNA領域)の余裕と、ターボ制御の進化(電子制御エアバイパスバルブ/ウエストゲートバルブ)によるところが大きいです。

 体感的には、一瞬もたついた後にドーンと加速をするFA20に対して、シームレスな加速で気が付いたら速いFA24といった感じ。

 このエンジンに加えて、SPTが良い仕事をしています。SPTは「CVTの逆襲」をテーマに開発されたトランスミッションで、レスポンスやダイレクト感が極限まで高められました。

 その結果、CVTが苦手な直結感や小気味良さは、下手なATよりも高いレベルに進化。加えてドライブモード「スポーツ/スポーツ+」では、ステップ変速(8速)とスポーツ変速制御(Dレンジでも減速Gに合わせて自動でダウンシフトをおこなう)が採用されています。

 キレのあるフィーリングとシフトスピードは「お前はDCTか?」と思うレベルで、ズバリ「CVTであることを一切言い訳しないCVT」です。

 これらの印象から、STIスポーツRのパワートレインは「名を捨てて実を取る」進化だと筆者(山本シンヤ)は評価しています。

 ただ、現状のドライブモードはエンジン/トランスミッション統合制御なので、個別設定できるとユーザーの好みに合わせやすいかなとも思います。

※ ※ ※

 2.4リッターターボの燃費はどうでしょうか。

 高速道路では13km/Lから14km/L、一般道主体だと10km/L前後といった感じです。スバル車として見ると悪くはありませんが、同クラスのライバルと比べるともう少しがんばってほしいところとも思います。

 ちなみに、高速道路をエアコンOFFでエコランしてみたところ、19km/Lから19.5km/Lを記録しました。

 なお、1.8リッターターボはレギュラーガソリン仕様ですが、2.4リッターターボはハイオク仕様となっています。

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