どんな状況でも安定感のある走りを実現

 高速道路のインターチェンジを降りてからは山坂道を進みますが、気温がグングン下がり圧雪とアイスバーンが混在する路面に変化していきます。

 普通のクルマだったら「ちょっと心配」、「大丈夫かな?」と感じるシーンですが、レヴォーグだとなぜか「絶対に大丈夫!」と感じられる“何か”があるのです。

スバル「レヴォーグ STIスポーツ EX」

 レヴォーグはAWDによる絶大なトラクション性能に加えて、ドライバーの操作に対して素早く、自然に、忠実に反応するハンドリング、さらには舗装路よりも希薄となりがちな路面状況でも的確なフィードバックが得られることが大きいでしょう。

 それはフルインナーフレーム構造の「スバルグローバルプラットフォーム(SGP)」や、常時四駆にこだわったAWDシステム、しなやかさと強靭さを備えた電子制御可変式のサスペンション、実用トルクと扱いやすさにこだわったCB18エンジン+新CVTなどの基本性能を刷新。

 さらに加えて、スバルが長年こだわってきた直接視界、ワイパー払拭面積の広さやワイパーデアイザー(寒冷地でのワイパーの張り付き/ワイパー下に雪が溜まるのを防ぐ)、素早く温まる空調やシートヒーターなどの寒冷地でありがたい工夫など、さまざまな部分が絡み合って実現しています。

 もちろん、日本ジャストサイズの取り回しの良いボディサイズは、雪の影響で狭くなった道幅で威力を発揮します。

 ちなみに雪道は滑りやすいので低い速度で姿勢変化(アンダーステア/オーバーステア)が起きます。それをコントロールするのがドライバーの腕の見せどころでもあります。

 しかしレヴォーグは「あっ!?」と思うような不安定な挙動にならず、雪道なのにピターっと安定した走りです。

 今回、広いエリアで横滑り防止装置をOFFにして派手な走行も試してみたのですが、あまりの安定性の高さに断念したくらいです……。

 それくらいメカニカルの状態でのスタビリティは非常に高いので、横滑り防止装置はかなりラフな操作をしない限り介入しないし、介入してもそっと背中を支える黒子のような制御なので、まるで自分の運転が上手くなったかと思うくらい。

 ただ、タイヤの能力以上のことはできないので、レヴォーグといえども雪上では無理は禁物です。

 雪道でもドライブモードセレクトを活用できます。お勧めは、パワートレインは穏やかな「I」、ステアリングは手ごたえ重視で路面の状況がわかりやすい「スポーツ」、サスペンションはより足を動かし、接地性アップと荷重移動がしやすい「コンフォート」、AWDはセンターデフを拘束し安定方向にしてくれる「スポーツ」です。

 そう、レヴォーグの安心・安全は「〇〇がいい」という飛び道具によるものではなく、「総合性能」の高さがそうさせています。

 もちろん他メーカーも同じことを考えていると思いますが、レヴォーグをはじめとするスバル車のそれは、そこに「季節や気候、走る環境を問わない」という枕言葉が入るのが大きな違いだと思っています。

 どんな状況でも常に冷静なドライビングができる、それは結果として安全運転にも繋がるのです。

 ちなみにレヴォーグのリアゲートには、最新モデルのトレンド装備のひとつであるハンズフリー式が採用されていますが、他社のそれは足を抜き差しする作動で開閉するのに対して、レヴォーグはリアの六連星オーナメントに肘など体の一部を近づけて作動します。

 これは「雪などで道が不安定な状況で片足を上げると、転んでしまう危険性がある」という考えからだそうです。

 さらに細かい話になりますが、リアシートの可倒は一般的な6:4ではなく4:2:4です。

 これならばセンター部のみ倒せば長いスキー板を車内に積むことができるうえ、左右シートを倒さないので後席に人が座ることもでき、家族や仲間とウインタースポーツに出かけるときに嬉しいポイントといえるでしょう。

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 レヴォーグは絶大な「安全」、「安心」、「安定」は、走行環境が悪くなればなるほど光ります。だからこそ、その先に「愉しさ」が見えてくるのでしょう。

 ただ、もう少しだけ燃費が伸びてくれると嬉しいです。

 今回、一般道~高速~山坂道、そして雪道の暖気を含めたオーバーオールでの燃費は12km/Lから13km/Lでしたが、欲をいえば15km/Lから16km/Lがコンスタントに実現できると……ね。

PHOTO GALLERYスバル「レヴォーグ」は雪上での安定感がハンパない!(33枚)