SUBARUのフラッグシップSUVが30周年を機に終売…特別仕様車も登場

 紅葉にはまだ少し早かったけれど、レガシィ アウトバックで秋の長野を、夫婦そろってロングドライブするというすてきな機会に恵まれました。

 折しも妻は10年間連れ添った愛車を手放したばかりで、わが家は次の候補を探している真っ最中。さらに筆者(山田弘樹)も「どこか旅行に行きたいな」という妻の言葉に空返事を繰り返すばかりだったので、それは願ってもないチャンスでした。

レガシィ アウトバックのLimited EXと筆者(山田弘樹)と夫人(右)

 さて、いま一度「レガシィ アウトバック」をおさらいすれば、それはSUBARUのフラッグシップSUVです。

光の当たり具合によって塗色の変化を楽しめるブリリアントブロンズ・メタリックカラー

 1994年、SUBARUは北米向けに、アウトドアを意識したレガシィのリフトアップモデルを「アウトバック」として発売。そして翌年日本では、これを「レガシィ グランドワゴン」としてデビューさせました。

 その後「レガシィ ランカスター」(1998年)、「アウトバック」(2003年)と名前を変えながら、現在は「レガシィ アウトバック」の名で親しまれています。

 そして今年は、その誕生30周年の年にあたります。

 こんな風に長く愛され続けてきたレガシィ アウトバック(以下アウトバック)ですが、ここでちょっとショックなお知らせがあります。

 それは2025年をもって、アウトバックが国内での販売を終了してしまうというニュースです。北米での生産と販売は引き続き行われるものの、日本での販売は来年3月末をもってその受注が締め切られると、正式に発表されました。

レガシィ アウトバック30周年特別仕様車が2車種登場!

30周年特別仕様車の第1弾として発表した「Black Selection」(2024年9月~)
30周年特別仕様車の第2弾として登場した500台限定「LEGACY OUTBACK 30th Anniversary」(2024年10月24日から抽選エントリー開始)※この画像はプロトタイプによるものです。仕様はお断りなく変更する場合があります。

 レガシィ アウトバック30周年を記念して、SUBARUは特別仕様車を2車種登場させています。

 第1弾は車両エクステリアの各所をブラックのパーツで引き締め、車内のナッパレザーシートもブラック基調とした「Black Selection」。

 そして第2弾は、ドアトリムに施された30th Anniversaryの刺繍とアイボリー×ブラックのナッパレザーシートなどの特別感あふれるインテリア、さらにレガシィの名にふさわしい走りの良さを求め、STIがチューニングした専用ダンパーを前後に配置した500台限定の「30th Anniversary」です。

「30th Anniversary」は2024年11月10日(日)まで全国のSUBARU販売店で抽選エントリーを受け付けているとのことで、ぜひチェックしたいところ。

 ただ、SUBARUのフラッグシップモデルとして、アウトバックを残してほしかったと寂しく思ってしまうのも事実。

 人は失って初めてその価値がわかるものですが、そんな思いも込めて今回はアウトバックとのドライブをかみしめてみました。

秋めく信濃路 アウトバックから享受されるプレミアムな大人旅

 ブリリアントブロンズ・メタリックに彩られたアウトバック。今回試乗したのは上級グレードとなる「Limited EX」でした。※メーカーオプション装着車

 全長4870mm、全幅1875mm、全高1675mmと余裕あるDセグメントボディは、車高が上げられたクロスオーバーSUVでありながら、都会でも自然の中でも映える伸びやかさを感じるデザインです。

 ボディ前後とサイドの下部には力強さを感じさせてくれるガードが装着されており、まさに「どこへでも連れて行ってくれそう」な雰囲気が満点。

 実際、アウトバックの最低地上高は213mmとなっていて、SUBARUの本格SUVである「フォレスター」の最低地上高220mmと比べても遜色のないものになっているので、普通のクルマでは進むことをためらってしまうような悪路でも、アウトバックであれば進んでいけるでしょう。

 改めて外観をチェックした後にドアを開くと、鮮やかだけれど落ち着きのあるタンカラーのインテリアトリムが、上品に私と妻を出迎えてくれました。※タンカラーの内装はメーカー装着オプション

ゆったりとくつろげる広い車室は上品なタンカラーのインテリアトリムが映える ※タンカラーの内装はメーカー装着オプション
上質と機能性を兼ね備えたナッパレザ―のシートが、私たちを心地よく包んでくれる ※本革シート(ナッパレザ―)はメーカー装着オプション

 ドアを閉めると“しん”と静まりかえった室内はちょっとプレミアムな雰囲気。ナッパレザー(本革)のシートは座り心地が良く、早朝のドライブを優しくスタートさせてくれました。 ※本革シート(ナッパレザ―)はメーカー装着オプション

 行く先は長野県。中央道を諏訪ICまで走り、まずはビーナスラインで霧ヶ峰を目指します。

 早朝の街中を走るアウトバックは、ゆったりボディと軽やかな足取りのコンビネーションが印象的。1.8リッター直噴ターボエンジンはターボの出足がスムーズで、ときおり水平対向エンジンの独特なメカニカルサウンドを心地良く織り交ぜながらも、基本的にはとっても静かです。

中央道をいくアウトバック。ゆとりあるホイールベースからくる堂々とした走りはロングドライブを疲れさせない

 乗り心地は、フワフワしすぎず硬すぎず。ストロークフルなサスペンションが路面のうねりを上手に乗り越え、段差の衝撃を“トトン”と吸収する様は、まさにフラッグシップモデルの余裕です。

夫妻でのロングドライブを味わう2人。快適な移動空間は、移動そのものを旅の目的とさせてくれる

 その足元にブリヂストンのSUV用プレミアムタイヤ「ALENZA H/L33」を選ぶあたりも、センスがあると思います。

「このクルマ、すごく安定してるね」

 高速道路の曲がり込んだカーブを走り終えたとき、妻が走りの印象を述べてハッとしました。

 個人的にはアウトバックの足周りって、しなやか系だと思っていたのですが、助手席からはその乗り味に頼もしさを感じていたようです。SUBARUの新たな技術である「フルインナーフレーム構造」のボディ剛性がそう感じさせるのかな?

 男なんてのは単純なもので、妻が気に入るとこちらもうれしくなってきます。「ふーん」なんて言いながら、さらにハンドルを丁寧に切り込んで行くと、確かにそのロールは、ただ柔らかいだけでなくコシがあって絶妙。

夫人も満悦のアウトバックの走りは、大人のプレミアムな旅にマッチする

 そして走り込むほどに、その感覚が体になじんでいきます。

 お世辞抜きに言いましょう。いいじゃん、アウトバック!

 いっぽう筆者のお気に入りは「アクティブレーンチェンジアシスト」です。

 SUBARUの制御を経験するまでは、正直「レーンチェンジくらい自分でやれば?」と思っていました。

  • アクティブレーンチェンジアシストはアイサイトX起動中に、ウインカーを出すとステアリングを制御してレーンチェンジをアシストするというもの

 しかしアイサイトXのレーンチェンジ制御は、驚くほどスムーズで素早いのです。さらにレーンチェンジ後は、途中から逆方向にハンドルを切り始めて、穏やかにヨーモーメントを打ち消します。

 そのハンドルさばきが、ドライバー目線で見ても、とてもうまいんです。

 こうして、時にアイサイトXを使いながら、高速道路を快適に走りきることができました。

※アイサイト・アイサイトXについて
●認識性能・制御性能には限界があります。
●対象物体、天候等によって、止まりきれないことや作動しない可能性があります。
●自動運転装置ではありません。運転にあたっては常に周囲の安全と自車の動作を確認し、危険を感じた際には直ちにステアリングやブレーキ操作等を行い危険を回避してください。
●詳細は販売店にお問い合わせください。

アウトバックから伝わる運転の楽しさは妻も納得の走り

 諏訪インターチェンジを降り、街中を通り抜けてビーナスラインへ。右手に八ヶ岳連峰を見ながら峠を登り、霧ヶ峰駐車場で一休み。

 すると妻が「ちょっと運転してみたいな」と言い出しました。

 えっ!? それって珍しくない?

「わぁ、いいね!」

夫人も自ら運転してその走りを味わう。「意のままに走れて楽しい」との感想

 元気なクルマが好きな妻がまず気に入ったのは、1.8リッター直噴ターボエンジンからくる瞬発力でした。

ビーナスラインでは秋風に乗って飛ぶ野鳥と、風を切って走るアウトバックのツーショット

 リニアトロニックCVTのレスポンスもいいのでしょう、アクセルを踏み込んだときの、グッと進む感じが楽しいとのこと。

 ハンドルを切ればスッと素直に曲がって、アクセルを踏み込めばシンメトリカルAWDのフットワークも、直感的に気に入ったみたいです。

「8速マニュアルモードを使えばもっと楽しいよ」と思ったけど、余計なことは言いませんでした。

 走りを楽しんだ後は展望駐車場でススキ野越しに白樺湖を長め、選手交代です。

優しい光に包まれて秋を満喫する夫妻。アウトバックでの旅は疲れ知らずだ

 この後は長野県松本市にある古民家をリノベーションした宿泊施設へ向かいます。どのような出会いがあるのか楽しみです。

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