なぜ実車を見ないまま新型「ソルテラ」買った?
クルマは高い買い物なので、購入するときは慎重に考えてからという人も多いでしょう。
筆者(雪岡直樹)もこれまではゆっくり考えてからクルマを買っていたのですが、今回スバル初のグローバルEVである新型「ソルテラ」は、ほぼ見ないで買うと決めました。
自動車メディアでカメラマンの仕事をメインにおこなっていることから筆者はクルマで移動することが多く、トヨタ「RAV4」から仕事で使いやすい日産「ウイングロード」に乗り換え、さらに荷物が積めて速く走れるクルマが欲しくなって、スバル4代目「レガシィツーリングワゴン Tuned by STI」を購入。
そこからスバルに目覚めて複数台のスバル車を乗り継ぎ、この原稿執筆時にはレガシィツーリングワゴン2台に「レヴォーグ」が1台の、スバルのワゴン車3台持ちという、すっかりスバルから抜け出せない状態になっています。
毎回すごく悩んでクルマを購入しており、また、クルマだけでなくほかの買い物をするときでも「本当に自分に必要か?」と自問自答しているからか、欲しいと思ったときにはその商品が品薄になっていたり、生産が追いつかず納期未定となることもしばしばです。
そんな慎重派の筆者ですが、スバルが新型ソルテラを発売するとなったときは「これは買うしかない!」と思い、東京・恵比寿のスバル本社に展示車を何度か見に行き、さらに発売日が決まってからは、ディーラーの担当者に「即注文するので準備をお願いします」と連絡。
これまでクルマという高額商品を実車もほぼ見ないで、ましてや乗らないで購入するなんて考えられなかったのですが、まさか自分がそういう買い方をするとは夢にも思いませんでした。
なにせ新型ソルテラの販売予定台数はそう多くないとのことなので、初期の受注から漏れてしまうと次はいつになるのか分からないし、昨今の世界情勢で余計にいつどうなるか分からない状況ということもあり、試乗しないで発注に至ったというわけです。
じつは、新型ソルテラと兄弟車のトヨタ新型「bZ4X」が発売される前にメディア向けの事前試乗会に参加する機会はあったのですが、カメラマンとして参加したためハンドルを握ることはかなわず。
乗れないことで余計に悶々とした日々を過ごしていたのですが、ラッキーなことにトヨタとスバルが合同で開いた公道試乗会に参加することになり、注文後に初めて運転することができました。
今回、東京・静岡間の片道約230kmを、新型bZ4Xと新型ソルテラを途中で乗り換えて移動し、両車の違いを体感するプログラムです。
用意された車両は、新型bZ4Xは「Z」。このワングレードのみの展開ですが、駆動方式がFWDとAWDの2種類があります。FWDは18インチ、AWDは20インチとタイヤも違います。
一方の新型ソルテラは「ET-HS」と「ET-SS」という2グレード展開のうち、20インチタイヤを装着した上級グレードのET-HS(全車AWD)でした。なお、ET-SSは18インチのタイヤを装着し、駆動方式はFWDとAWDが選択可能です。
まずは新型ソルテラから試乗します。撮影のため助手席に乗り込んで出発、EVの特徴でもある静粛性の高さが良い点です。
助手席での加速も体験。ドライバーの「いくよ!」という掛け声とともに勢いよく加速していく様は、異次元の世界。若干足回りが硬く感じられますが、それはクルマ全体の慣らしが済めば落ち着きそうな雰囲気も感じられます。
SUVということもあって、20インチタイヤは50扁平なので、エアボリュームがあり乗り心地は良好でした。
ひとしきり撮影した後に、いよいよ初めて新型ソルテラを運転しました。
スバル初採用となる、メーターをステアリングの上部を通して見るように設計された「トップマウントメーター」は、メーターの下部が若干ステアリングで隠れる程度で必要な情報はすべて視界に入ってきます。
チルトステアリングがもう少し上に持ち上げたくても上がらないのはちょっと不便かもしれませんが、慣れれば気にならないでしょう。
また、ステアリング径が350mmと小さく、お腹のあたりで操作しているように感じられましたが、意外とすんなり受け入れられました。
そして、スバル車には設定がないオルガンペダルのアクセルも違和感なく踏み込めます。ヒール&トゥをするクルマでもないし、むしろワンペダルで加減速できる「S-PEDAL DRIVE」の操作がしやすいのではとも思えたほどです。
新型ソルテラのドライブモードセレクトは、エコ/ノーマル/パワーの3モードを設定(FWDはノーマルとエコの2モード)。
それぞれ特性が異なっており、トータルの出力は変わりませんが、そこに到達するまでのパワーの出方に差があって、街中や高速巡航、合流加速、山道などシチュエーションごとに使い分けると面白いです。
パワーモードに設定してアクセルを踏み込むと、モーター出力フロント80kW、リア80kWの合計160kWが一気に解放される感覚を味わえます。
その分バッテリーを消費することから航続距離が短くなってしまいますが、そこは加速を楽しんだ分のトレードオフで仕方ない部分。山道でのパワーモードは振り回している感じが味わえて、さらに面白い走りが可能でした。
高速道路の巡航もいたって静かに、そしてフラットな乗り心地で進んで行きます。段差やワダチも姿勢を乱すことなく乗り越えていくのは、ボディ剛性の高さと低重心がもたらす安定感でしょう。
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