東京や岐阜の聖地とは?
2つめの聖地は、東京都三鷹市にある「STIギャラリー」です。ここも中島飛行機時代からの生産拠点ですが、戦時中は米軍から真っ先に空襲の標的とされたエリアだけに、当時の工場を思わせるものは跡形もありません。
今はSTI本社とエンジンの開発などを行う拠点に変わり、東京スバルの三鷹店も置かれるなど、誰もが足を運びやすい環境が整っています。
STIギャラリーには、WRCやニュルブルクリンク24時間レースの参戦マシン、モーターショーに出展したコンセプトカーなどが展示されます。展示ラインナップは時々入れ替わるので、定期的にチェックしてみると良いでしょう。
そして、STIギャラリーはSTIの思想や志しを視覚的に伝えることを表現する場所でもあります。STIパフォーマンスパーツの効果がわかるエンタメ設備が置かれたり、ガチのシミュレーターレベルで環境が充実した「グランツーリスモ」のプレイも楽しめます。
土日には「WRC参戦黄金期の生き字引き」として知られる眞下義昭さんが常駐することが多いので、昔のSTIの活動エピソードが聞けるかもしれません。
3つめの聖地は、岐阜県中津川市にある有名スバルショップの「中津スバル」です。スバル関連の聖地はほかにも候補がありますが、日本一マニアックなスバル販売店とされています。
中津スバルは、1954年に有限会社中津川モータースとして設立してから70年近い歴史のある老舗販売店で、スバル車はスバル360の時代から取り扱っています。
特徴的なのは、新車のまま保存しているSTI限定車の「22B」をはじめ、スバル1000や「1300G」など、スバルの旧車アーカイブが非常に充実していること。
動態保存されている旧車の多くは、少し整備をすれば普通に走行可能な状態が維持されています。
「アルシオーネ」のみを保管する専用の基地「S.A.B.」や、スバル「サンバートラック」の記念館として、また研究会などの開催会場としてよく使われる「望桜荘」など、同社独自の施設はミュージアムとしても大きな価値があります。
中津スバルは基本的には販売店ですが、こうした施設や動態保存車は見学するだけでもOKなので、お気軽にお立ち寄りください。30年ほど前から「正月営業」を続けており、正月の三が日でも商談や整備を受け付けているところも稀有な販売店といえるでしょう。
ちなみに、岐阜放送(ぎふチャン)では「中津スバルは、スバリストの聖地だ~!」と叫ぶテレビCMがオンエアされており、岐阜県では古くからよく知られた存在です。
動態保存車ではない、普通の中古車の在庫も豊富で、MT車の比率が高いなど、マニアックなランアップになっているので、在庫車を見てまわるだけでも楽しい販売店なのです。
3代目の社長、代田敏洋(しろたとしひろ)さんは「スバルにモノいう販売店社長」としても知られ、歯に衣着せぬ言動が波紋を呼ぶこともありますが、ブログやYouTube動画などでも大人気。
代田社長にとってスバル車の販売は「家業」であり、自動車の販売業は完全に生活の一部ということで、幼少期より独自の感性を磨いてきたようです。
これまで販売されたクルマで「思い出深いクルマ」を挙げてもらうと、STI限定車の22Bや「202」のような“作り手の魂”が感じられるクルマだといいます。
女性ドライバーだけが参加できる「恵那ラリー」に中津スバルとして6年連続で参戦するなど、モータースポーツ活動にも積極的です。
中津川市は、歴史的にも中山道など交通の要衝にあり、江戸時代の参勤交代など、各地の文化の通り道であるので、産業や食文化が発展したとそうです。観光もかねて中津スバルのアーカイブを見学してみてはいかがでしょうか。
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