新型クロストレックとSUBARU XVを乗り比べると…

デビューしたばかりの「クロストレック」で、一般道を模したコースを試乗する

 さて、自分でハンドルを握るもうひとつのプログラムとして用意されたのが、SUBARUの新型SUV「クロストレック」の試乗です。「クロストレック」は進化させたプラットフォームやSUBARU最新の技術が投入されたSUVですが、これまでの車種とは違う、「医学的アプローチから人が感じる乗り心地のメカニズム」を研究して開発されました。それを体感してもらおうと言うものです。

 まずは従来モデルに相当する「SUBARU XV」をドライブした後に、クロストレックで同じコースを回って進化を感じてみましょう。

 実際に運転して比べた丹羽さんによると、「骨盤の仙骨を支えることに注力したシートがしっかり身体を保持してくれること」「素直な操舵感と安定性」そして「路面の継ぎ目やマンホールの蓋を踏んだ時の振動の収まりによるフラットな乗り心地」を実感したとのこと。いずれも操縦性を高める要素であり、また運転に集中する環境を整えることで安全に貢献する部分といえます。

 そして丹羽さんは「天井から伝わる音が静かになったこと」も実感できたよう。エンジニアに確認したところ、クロストレックは天井付近の車体結合に高減衰接着剤が使われており、これにより振動が抑えられ、音が伝わりにくくなったからだとわかりました。

  • クロストレックの乗り心地の良さ、身体のブレなさ、車内の静けさはすぐに体感できる
  • SUBARU XVも高いレベルにあるが、クロストレックと比べるとやや気になる部分も

いいクルマとはなにか? SUBARUのクルマづくりを藤貫CTOに聞く

SUBARUの最高技術責任者である藤貫哲郎CTOに話を聞くことができた

 すべてのプログラムのあとは同社の最高技術責任者、つまりSUBARUのクルマ作りを統括する藤貫哲郎CTOに話を聞くことができました。

「SUBARUの安全性は、最初の四輪市販車である『スバル360』から盛り込まれていました。(まだ安全性能が注目される前の)その頃から始まって、開発に染みついていたのです。

 そんなSUBARUが『2030年死亡交通事故ゼロ』をコミットしたことも、ある意味自然なことだと思います。クルマで人を傷付けるようなことがあってはならない。それはSUBARUのエンジニアの間に、風土として受け継がれてきたのだと感じています」

 では、そのようなSUBARUらしさは、実際に運転してみるとどこで感じられるのでしょうか。

スバル車の「運転のしやすさ」は誰でも感じられる。運転のしやすさは安全にも繋がるとのこと

「初めて乗るクルマで初めての場所を走っても、緊張することなく普段乗っているクルマのようにスッと運転できたと思います。まさにそこだと思うんです。(SUBARUのクルマが)凄いと感じさせることよりも、自然に乗れる、そんな感覚を大切にしています」

「以前、あるお客様から『アイサイトがあるからスバル車を買った。そうしたら運転のしやすさに驚いて、ペーパードライバーだった妻も運転するようになって、今ではロングドライブもこなす。乗りやすさに驚いている』という声を頂きました。

 まさにそこを目指しています。ロングドライブでも自然に走れてしまう。そして疲れない。そんなクルマが安全のひとつのポイントだと思います」

 では、どうすれば疲れないクルマができるのでしょうか。

大切なのは、ドライバーが「クルマと当たり前に対話できる」クルマづくり

「対話できるクルマ」は数値化することが難しい。だからこそ、人の手によるクルマづくりが必要だそう
個性が出しづらいと言われる電気自動車だが、ソルテラに乗ると「スバル車」を感じることができる

 さらに藤貫さんはこう続けます。

「大切なのはしっかりとクルマと対話できることだと思います。ドライビングは人だけがするものではなく、クルマだけがするものでもない。人とクルマが対話して作っていくもの。それは無意識であり、人間の能力を拡張するかのように手足のようになってくれるクルマを狙っているんです」

 最後に、SUBARUの考えるいいクルマとは。

「究極の手足ですね。クルマのいいところは、好きな時に好きな場所に行けること。どなたにもそれを味わっていただけるように、しかも運転する愉しさや所有する歓びもしっかりとあって、満足していただけるような形を目指しています」

SUBARUの安全性能は、基本的な動力性能の高さから来ていた!

スバル車の安全性能の高さは「アイサイト」だけではない!

 基本的な走行性能が高いから、運転しやすくて快適性が高い。そして、全方位で動的性能を磨くことが安全につながる。もちろん人の感性に寄り添うことが重要――。今回、スバル車の体験を通して丹羽さんはそう強く感じたようです。

 そのような彼の今回の学びは、単にSUBARUの走行安全の理念を理解しただけでなく、きっと今後の編集者としてのキャリア形成に生かされることでしょう。そんな気がしてならなかった、今回の試乗体験でした。

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