「戦いがはじまった…」 トヨタとスバルのガチンコ勝負! カーボンニュートラル燃料で挑むスーパー耐久・開幕戦の行方はいかに
「ENEOSスーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook」の開幕戦となる鈴鹿大会が2022年3月19日-20日におこなわれました。2022年シリーズから「GR86」と「SUBARU BRZ」が投入されカーボンニュートラル燃料を用いて参戦します。
ついに始まったカーボンニュートラルの実現に向けた新たな戦い! GR86とSUBARU BRZの開幕戦はどうだった?
2022年3月19日-20日に、「ENEOSスーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook」の開幕戦となる鈴鹿大会がおこなわれました。
2022年シリーズから「GR86」と「SUBARU BRZ」が投入され、カーボンニュートラル燃料を用いて参戦します。
開幕戦を終えて、両チームの監督はどのような想いを抱いたのでしょうか。
鈴鹿サーキットでおこなわれた開幕戦、3月20日におこなわれた決勝(5時間耐久)では、GR86で戦う「ORC ROOKIE Racing」の「#28 ORC ROOKIE GR86 CNF Concept」(以下GR86 CNFコンセプト)は115周を走り、トータルタイムは5時間1分55秒449、ベストタイムは大嶋和也選手の2分23秒308となりました。
対してSUBARU BRZで戦う「Team SDA Engineering」の「#61 Team SDA Engineering BRZ CNF Concept」(以下BRZ CNFコンセプト)は115周を走り、トータルタイムは5時間2分58秒484、ベストタイムは井口卓人選手の2分24秒157となっています。
今回は、レースレポートではなく、リザルトだけではわからない裏側についてお伝えしていきたいと思い、両チームの監督と開発責任者に話を聞きました。
まずは、19日におこなわれた予選です。ちなみに予選タイム(A/Bドライバーのタイム合算)はBRZ CNFコンセプトは4分44秒411、GR86 CNFコンセプトは4分51秒463と、スバルに軍配が上がりました。
ただし、GR86 CNFコンセプトはBドライバーである豊田大輔選手のアタック中にエンジントラブルが発生。豊田選手は「燃圧が出ず、パワーがない」とコメント。
メカニックによるトラブルシュートで部品を交換、その後の走行で異常がないことが確認されましたが、これまでのテストでは起きていなかったトラブルでした。
予選後にGR86 CNFコンセプトの開発責任者・藤原裕也氏に話を聞いてみました。
「Aドライバーの蒲生選手はいいタイムを出してくれましたが、Bドライバーの豊田選手は申し訳なかったな……と。エンジン不調のまま、予選を走ることになってしまいました。
テストでアキレス腱となっていたトランスミッションは、若干フィーリングに渋さがありますが問題は出ていません。『決勝もこのまま使う』という案もありましたが、ここで壊れてしまうと検証できないので交換します」
一方、BRZ CNFコンセプトの開発責任者・竹内源樹氏に話を聞きに行くと、現場にはおらず……。
竹内氏はS耐と同じスケジュールで開催される全日本ラリーにドライバーとして参戦するため、今回は欠席(結果はクラス優勝)。そこで本井雅人監督にお話を聞きました。
「シャシのセットアップがやはり難しいですね。市販車とはタイヤも車高も違うので、まだまだ理想の姿には届いていません。
エンジンはベンチで回して耐久・信頼・オイル消費などを見越していますので、恐らく問題ないと思います。
今回は竹内が欠席ですが、その分若いメンバーが頑張っているようで、いつもより動きがいいですね。
GR86はトラブルが出ているようですが、『戦わずして勝つ』のは面白くないので、頑張って欲しいです。
恐らく、決勝は速いと思いますので、我々は『燃費』で勝ちたいな……と」
※ ※ ※
決勝日のレーススタート前には、19日にSUBARUの中村社長からレーシングスーツをもらったお礼のためにROOKIE Racingのモリゾウ選手がスバルのピットを訪問。ここでインタビューに答えてくれました。
「中村社長からいただきましたが、これは『チャンスがあれば乗ってもいいよ』と解釈しています(笑)。
カーボンニュートラルの実現に向けての『意志ある情熱と行動』にスバルも入っていただき、未来のための援軍がやってきた感じです。
両社が心ひとつにもっといいクルマができれば、より多くの笑顔が頂けると思っています。
しかし、レースですのでガチンコ勝負です。ちなみに中村社長は昨日の会見で『ガチンコ』と3回いいました。シッカリと受けましたので!!」
このモリゾウ選手の先々布告に対して、SUBARUの中村社長は次のように語っています。
「レーシングスーツは仕立てました。いつ何時かはわかりませんが、どうぞ。
でも、うちにはチャンピオンドライバーが2人いますからね」
このように、両者の“負け嫌い”が出ています(笑)。