【S耐、開幕まで1か月】 公式テストで見たGR86/SUBARU BRZの変化とは
2022年2月23日、富士スピードウェイにてスーパー耐久シリーズ2022の公式テストが行われました。GR86/SUBARU BRZは合同シェイクダウンからどのような変化を見せたのでしょうか。
スーパー耐久シリーズ2022の公式テストでGR86/SUBARU BRZはどのような変化を見せた?
スーパー耐久シリーズ2022の公式テストが2月23日、富士スピードウェイにて開催されました。
日中のテスト(3回)に加えて、富士24時間レースを想定した夜間走行を含めた長丁場となりましたが、開幕前という事もあり多くのチームが参加。
もちろん、2月15日に合同シェイクダウンを行なったGR86/SUBARU BRZも参加しています。
ちなみにエントリーリストを見ると正式な車名は「ORC ROOKIE RACING GR86 CNF CONCEPT」と「Team SDA Engineering BRZ CNF CONCEPT」となっています。
今回、GR86のピットはもっとも1コーナー寄りとなるB棟44番、45番です。
これは同チームから参戦する「Corolla H2 CONCEPT」の水素充填を考慮しているためなので理解できますが、対するBRZはA棟の29番と合同シェイクダウン時よりも離れています。
この辺りは偶然なのか必然なのか解りませんが、「手の内は明かさないぞ!!」と言わんばかりの距離感といえるでしょう。
ただ、2社の取り組みを平等に取材する筆者(山本シンヤ)にとっては少々、辛い距離間でもあります(汗)。
早朝に各ピットに向かうと、すでに入念な準備が進められています。
ルーキーレーシングの無駄のない動きは不変ですが、SUBARUは合同シェイクダウン時の手探り感が薄れたプロフェッショナルと変わらないオペレーションで、人材育成も着実に進んでいるようです。
それぞれのマシンにも合同シェイクダウンからアップデートが行われています。
GR86は真っ白なボディにGRモザイク仕様のボンネットはそのままですが、合同テスト時には未装着だったリアの大型ウイングをプラス。
トラブルが発生したトランスミッションは暫定ながら対策品を装着。カーボンニュートラル燃料はデータ取りのために終始、使用するといいます。
BRZは「東京オートサロン」での参戦体制発表時に公開されたカラーリング(ホワイト+ブルーの炎)が施され、よりレーシングカーらしく見えます。
メカニズムはサスペンション周りに合同テスト時のフィードバックが行われているそうです。
燃料はガソリンとカーボンニュートラル燃料を使い分け、様々な確認を行うといいます。
10時10分、1回目のテスト走行がスタート。GR86は前回の合同シェイクダウンでトラブルの発生のためにできなかったエンジンのテストが中心で、足回りのセットアップまで手が回っていないにも関わらず1分53秒454とST2/3クラスに迫るタイムを記録。
BRZは前回のテストで信頼、耐久性に関しては確認が取れているため、足回りのセットアップが中心で、タイムは1分57秒222を記録。
タイム的には前回の合同シェイクダウンと大きな差はないのですが、やはりGR86の速さが気になるようで…。
区間タイムを見ると、GR86よりBRZが上回る所もありますが、最高速は10km/h近い差があるといいます。
ラップタイムだけ見るとGR86優勢ですが、これだけで判断できないのがレースの面白い所です。
その証拠に、13時から行なわれた2回目の走行ではGR86が1分55秒567、BRZが1分56秒909。
15時から行なわれた3回目の走行はGR86が1分55秒807、BRZは1分56秒19と、GR86はタイムが落ちてしまっているのに対して、BRZは着実にタイムを上げています。
これはどういう状況なのでしょうか。
走行後にドライバーへマシンの印象を聞いてみることに……。まずはルーキーレーシングのドライバーです。
「やらなければならない事は山積みです。現状はエンジンやシステム的な問題を確認していく作業が主で、細かい所は煮詰まっていません。そのため戦いながら開発を進めていく事になると思います」(大嶋和也選手)
「クルマの素性はいいが、競争力はこれからだと思います。やりたい事はたくさんありますが、レースを最低限戦うために、エンジンに特化したテストを進めています。まだまだ走りにくいクルマなのでカイゼンを進めていきたいです」(豊田大輔選手)
「エンジンはまだ距離を稼げていないので未知の状態です。ターボなのでトルクは凄いですが、逆に現状ではトラクションが掛からないくらいです」(蒲生尚弥選手)
続いて、SUBARUのドライバーです。
「エンジンの出力を上げるのは簡単ではないので、まずは足を鍛えて乗りやすいクルマづくりを進めています。まだまだイメージ通りとは言えませんが、生まれたばかりのマシンなので、もっと走り込んで鍛える必要があります」(井口卓人選手)
「ドライバーのフィーリングとクルマの反応が合っていないので、その感覚を詰めていく必要があります。現状のコンディションは半分くらいで、まだまだ足りていない所はありますが、そこを引き上げるのが僕たちの仕事だと認識しています」(山内英輝選手)