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なぜ豊田市は「WRC主催」に手を上げた? 山間振興&交通安全に繋がる? ラリージャパン会場で市長に聞いてみた!

くるまのニュース編集部:金子高志

12年ぶりに日本で開催される「WRC(FIA世界ラリー選手権/ラリージャパン)」が2022年11月10日から13日まで愛知県・岐阜県をまたいでおこなわれます。そうしたなかで、開催地のひとつである豊田市の太田稔彦市長はWRCにかける想いを語ってくれました。

 2022年11月10日より4日間にかけて開催される「WRC(FIA世界ラリー選手権)」の最終戦「ラリージャパン」。
 
 日本では12年ぶりとなるWRCが愛知県と岐阜県の両県でおこなわれますが、本番直前に愛知県豊田市の太田稔彦市長が開催への想いなどを語ってくれました。

 WRCは、スペシャルステージ(SS)と呼ばれる交通が遮断された一般道を市販車ベースのラリーカーで走行し、各SSでの累計タイムがもっとも短いチームが勝利するという競技です。

 また各SSを繋ぐリエゾンという区間では、一般車と混走する形で各国の道路交通法を遵守して走行するため、開催期間ではいたるところでラリーカーを目撃することから、サーキット競技とは異なる魅力を持っています。

 そんなWRCは、かつて日本でもラリージャパンとして開催されていました。

 2004年から2007年までは北海道十勝地方で開催され、2008年には札幌を中心とする道央地区に開催地を移動。その後は、2010年の第6回を最後に、しばらくの間は日本での開催はありません。

 そして、2020年に再びラリージャパンの開催が愛知県と岐阜県の両県で予定されていましたが、新型コロナウィルス感染拡大の影響により2020年、2021年と2年連続で中止となっていました。

 2年越しを経て今回、12年ぶりの日本開催となるラリージャパンは、愛知県の豊田市・岡崎市・新城市・設楽町、岐阜県の中津川市・恵那市の2市で19のSSに分かれて競技がおこなわれます。

 初日となる2022年11月10日の午前中にはSS1「鞍ケ池SS(Kuragaike Park)」でシェイクダウン走行が実施されました。

 その場には、前出の太田稔彦市長も来場しており、12年ぶり開催のラリージャパンへの想いを語って頂きました。

ーー 12年ぶり、そして2年越しの開催となるラリージャパンですが、開催に至る想いを教えてください。

 さまざまな状況が変わる時代にあってWRCという大きな大会が開催できることを嬉しく思います。

 とりわけ、今回のWRCが愛知・岐阜という広域にわたってやりますので、広域での交流や舞台となる山間地という日本の原風景が注目されます。

 日本の山間地は過疎化が進んでいますが、今回のWRCで注目されることでさまざまな人々に日本の山間地の魅力を知って欲しいです。

ーー 2023年以降のWRCに関して豊田市は主催することに手を上げていますが、どのような経緯なのでしょうか。

 WRCの主催に手を上げた狙いの1点目は前述のように山間を盛り上げる「山間振興」、2点目は「交通安全」です。

 モータースポーツ、とくにラリーは爆音を轟かせながら街中を走るイメージから交通安全とは真逆ではないか、と思われがちです。

 しかし、このラリーという競技が成立するのはドライバーやコ・ドライバー(助手席の案内役)の高い技術があるからです。

 それであれば、その高い技術をしっかりと伝えるということが良いと考え、すでにラリー教室などを学校の校庭などで開催して、クルマの楽しさ、ラリーの魅力、交通安全を広めていきたいと思っています。

 そして3点目は豊田市ならではですが「産業振興」としてトヨタ社長がいっている「もっといいクルマを作ろう」において、モータースポーツ、WRCがそれに繋がります。

 さらにカーボンニュートラルの世界に向けて、このモータースポーツ、WRCがゼロカーボンに向けて加速させるのに必要だと思っています。

 この3点をふまえると「WRCは単なる興行ではなく極めて公益性の高い興行」だという位置づけと考えて、WRCの主催に手を上げました。

 また手を上げたことに対して、周りからは反対の声はなく、どちらかというと「クルマの街なのにどうしてラリーをやらないんだ」という声があったこともあり、気持ちとしてみんなやりたいのだなと感じました。

 あとは、豊田市が「クルマの街」というだけでなく、山間振興やさまざまな観光の魅了もあるということを世界の人に知って頂ければと思います。

※ ※ ※

 実施に目の前を走行するラリーカーを見ていた沿道の数人に話を聞くと「最初は爆音で驚いたが、普段の道を世界の人々が走るということに感動しました」、「音に関しては驚きますが、世界各地、日本各地から豊田市に来てくれるので、その面では凄く良いことだと思います」というような声が聞かれました。

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