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京都・嵐山の福田美術館で3月28日から「若冲誕生〜葛藤の向こうがわ〜」展が開催

若冲の最初期作品「蕪に双鶏図」など初公開作品が集結

 京都市・嵐山にある福田美術館で、2020年3月28日より6月21日(予定)まで「若冲誕生〜葛藤の向こうがわ〜」展が開催される。

  • 伊藤若冲 蕪に双鶏図

 近年人気を集めている江戸時代の画家、伊藤若冲(1716-1800)は、京都錦小路にある青物問屋「枡屋」の長男として生まれた。23歳のとき、亡くなった父に代わり家業を継いだが、30代で家業のかたわら描いた絵には、独自の感性による表現が感じられる。

 家業を続けるのか、絵に専念するのかという葛藤に苦しんでいた若冲を解放したのは、彼の絵の才能を見いだし、精神的に支えた大典禅師をはじめとする禅僧や支援者たちだった。彼らが若冲やその家族を援助し励ましたことで、40歳で家業を弟に譲り、絵を描くことに専念することができた。

 若冲は、代表作である極彩色の「動植綵絵」(30幅)を、隠居後の42歳ごろからおよそ10年かけて制作するが、同時期に多くの水墨画も描いている。その後、版画の技法による「乗興舟」を制作するなど、85歳で亡くなるまで新しい技法や表現を探求し続けた。

 今回の展覧会では、若冲最初期の作品とされる初公開の「蕪に双鶏図」から、晩年までの作品と若冲に影響を与えた禅僧や画家たちを取り上げ、若冲作品の魅力とその背景に迫る。約30点の初公開作品を含む、総数およそ50点の若冲作品が展示される注目の展覧会になる。

 また曾我蕭白(1730-1781)、円山応挙(1733-1795)など個性あふれる同時代の画家たちの作品も展示、若冲の生きた18世紀京都画壇の秀作も楽しめる。

※ ※ ※

 福田美術館は、2019年10月1日、京都・嵐山に開館した新しい美術館。

「100年続く美術館」をコンセプトに、現代まで受け継がれてきた日本文化を次世代に伝え、さらなる発展へと繋がる美術館を目指すという。

 福田美術館の建つ場所は、古来より多くの貴族や文化人に愛され、芸術家たちがすぐれた作品を生み出す源泉となった嵯峨嵐山。今や日本国内だけでなく世界中から人々が訪れる観光地となっている。

  • 伊藤若冲 群鶏図押絵貼屏風(左隻)

開催概要

タイトル:若冲誕生〜葛藤の向こうがわ〜
会場:福田美術館
住所:京都府京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3-16
会期:2020年3月28日(土)から6月21日(日)(予定)
開館時間:10:00から17:00(最終入場時間16:30)
休館日:火曜日(ただし、5月5日・6日は開館、7日休館)
入場料: 一般・大学生 1300円 高校生 700円、小・中学生 400円
※幼児無料
※障がい者と介添人1名まで 各700円
※20名以上の団体は100円割引

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