AE86を超えた…カローラ誕生!? 2人乗り設定「最強のカローラ」をサーキット&ダートで試乗!
AE86を超えた…カローラ誕生!? 2人乗り設定「最強のカローラ」をサーキット&ダートで試乗!
フットワークはどうでしょうか。
ステア系はスポーツモデルにしては軽めの操舵力ですが、ベース車でも定評のある第3世代EPS制御を活かしたスムーズで繋がりの良い操舵フィールと直結感の高さに加えて、まるでステアリングシャフトが一回り太くなったかのような芯の強さを感じました。
車体はTNGA「GA-C」をベースにスポット溶接(+349点)、構造用接着剤塗布範囲追加(+2748mm)を実施。
サスペンション周りは専用のスプリング/ショックアブソーバーに加えて、専用サスペンションメンバー(5kg軽量化+ロアアーム取り付けポイント15mmアップ)、ブッシュのピロボール化、トルセンLSD(前後)などを採用。
AWDシステムは電子制御油圧多板クラッチ採用の「GR-FOUR」はGRヤリスと共通ですが、GRカローラのパッケージやディメンジョンに合わせた専用の駆動力制御を採用。
ブレーキは前後対向キャリパー(フロント:4ポット/リア:2ポット)、タイヤは235/40R18サイズのADVAN APEX V601です。
ちなみにこのタイヤが選定されたのは性能的な部分はもちろんですが、「カローラ=ADVAN」のイメージの継承もあるそうです。
車体剛性の高さはいわずもがなですが、ドイツ系のようなガチっとした印象とは違い剛のなかに柔(=しなやかさ)がある印象です。
ハンドリングはAWDらしからぬノーズの入りの良さとAWDらしいリアの安心感の絶妙なバランスのよる一体感の高さ、ドライバーの操作次第でアンダーもオーバーも自由自在なコントロール性の高さなどはGRヤリスと共通ですが、GRカローラはそれに加えて、GRヤリスより「扱いやすい」、「ストライクゾーンが広い」走りが備わっています。
もう少し具体的にいうと、GRカローラはクルマの動きが穏やかで挙動変化が予測しやすいのでコントロールがしやすい走り、つまり「スイートスポットが広く、多くの人が安心して楽しめる」懐の深い走りです。
対するGRヤリスはクルマの軽さを活かした俊敏な動きですが挙動変化に対してドライバーの腕も求められる走り、つまり「スイートスポットは狭いが、ハマると超絶楽しい」挑戦的な走りといったらいいでしょうか。
この辺りはカローラのディメンジョンの良さ、ロングホイールベース、ワイドトレッド、スタビリティの良さがGRカローラのセットアップにも活きているのでしょう。
ただ、勘違いしてほしくないのはGRカローラがGRヤリスに対して「ダル」、「鈍感」な走りになったのではなく、GRヤリスの兄貴分となるGRカローラのキャラクターに合わせた味付けとしては正しく、クルマの動きに僅かな「間」、「タメ」ができたといったイメージです。
とはいえ、GRカローラが甘口化というとそうではなく、筆者レベルのドライバーが中・高速コーナーで意図的にスライドさせるようなシーンだと、GRヤリスは「ドキっ」と手に汗握ることもありますが、GRカローラはむしろ「ニヤッ」としてしまうくらい安心感があります。
つまり、穏やかな挙動が逆に手の内感を生んでいるというわけです。
ちなみにGRヤリス+200kgの車両重量はブレーキング時やRがキツいコーナーで感じますが、それ以外の所では想像しているよりも気にならないレベルに抑えられています。この辺りはコーナリング中に4輪に荷重を上手く分散させるAWDの駆動力制御や専用チューニングのタイヤなども貢献しているはずです。
乗り心地はサーキットなので断定はできませんが、凹凸ある路面を通過した際の目線のブレなさや、縁石に乗り上げたときの入力のまろやかさやスッキリとした足の動きなどから、かなり良さそうな予感。
開発ドライバーの1人である石浦宏明選手は、「自分が買うつもりでセットアップしたので、乗り心地もかなり気を使いました」と教えてくれたので、期待していいでしょう。