AE86を超えた…カローラ誕生!? 2人乗り設定「最強のカローラ」をサーキット&ダートで試乗!
「GRカローラ RZ」「GRカローラ モリゾウエディション」共に2022年冬頃から抽選予約受付を開始(2023年年初から台数限定で販売)しますが、その前にサーキット・ダートコースを試乗してみました。
12代目となる現行カローラは「ロングセラーだからこそ、変わる必要がある」を開発テーマに、トヨタのクルマづくりの構造改革「TNGA」をフル活用して刷新されました。
2019年に登場のハッチバック(スポーツ)を皮切りに、セダン、ワゴン(ツーリング)、クロスオーバー(カローラクロス)とバリエーションを増やしてきましたが、そのフラッグシップとなるのが「GRカローラ」です。
このモデルはGRスープラ、GRヤリス、GR86に続く、トヨタのスポーツブランド「GR」のオリジナルスポーツカー第4弾でもあります。
このクルマが生まれたキッカケは豊田章男社長の「お客様を虜にするカローラを取り戻したい」という強い想いでした。
そこで開発陣はGRヤリスで開発されたパワートレイン(G16E-GTS)とAWD(GR-FOUR)を水平展開しながら検討をスタート。
とはいっても、ヤリスより大きく重いカローラがベースのため開発は難航。
メンバーの心のなかは「リソースが限られているから、仕方ないよね」でしたが、豊田社長は開発車両からそれを感じ取り「スポーツカーとしては野性味が足りない」と企画は完全に頓挫。
実はプロジェクト中止の危機まであったそうです。
そんなとき、ほぼ同じタイミングで水素カローラのプロジェクトが立ち上がりました。
そこで豊田社長は「この場(=サーキット)を使ってGRカローラを鍛えてみてはどうか?」と提案。
つまり、水素カローラの開発とGRカローラの開発をリンクさせることで、GRが提唱する「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」をリアルに進めようと考えたのです。
そこから約1年、極限状態でパワートレイン/シャシーをはじめとするさまざまな検証・評価を通常の開発を超えるスピードでアジャイルに進められました。
その結果、水素カローラは大きな進化を遂げましたが、それはGRカローラの熟成にも大きく繋がっているのはいうまでもないでしょう。
そんなGRカローラですが、正式発売に先駆けて試乗をおこなってきました。
場所は千葉県の袖ヶ浦フォレストレースウェイとなり、試乗モデルは「RZ」と「モリゾウエディション」の2台です。
まずはRZからです。エクステリアは専用ワイドボディ採用で全幅はノーマル+60mmとなる1850mm。
只者ではない雰囲気がプラスされていますが、後付け感の強いリアのフェンダー周りは賛否が分かれる所です。
この辺りを開発陣に聞いてみると「メインマーケットの北米の嗜好に合わせた」とのことですが、個人的には専用リアフェンダー(というより専用ボディ)を採用するGRヤリスのほうが洗練&スマートに見えるかなと感じました。
インテリアはカローラスポーツをベースに、随所に専用アイテムをプラスすることでスポーツモデルらしさを演出。
とくに専用メーターは2タイプの表示が可能となっており、事務的なデザインでガッカリのGRヤリスと比べると大きな進化といえるでしょう。
運転席に座ります。シートはスポーツモデルにしては少々高めのポジションのGRヤリスに対して自然です。
ちなみに。シートはGRヤリスと共通の物が装着されますが、着座姿勢の違いなのかフィット感はより高く感じました。
後席は割り切りのGRヤリスに対して実用性も高さも強みのひとつといえるでしょう。
サーキット走行なのでVSCは「全OFF」、1速に入れてスタートです。
乗る前はGRヤリス+200kgの車両重量ということで「さすがに1.6リッターターボだと厳しいかな?」、「出力が上がっているからよりピーキーな特性?」と予想していましたが、いい意味で裏切られました。
エンジンはGRカローラ用に最適化がおこなわれ、最高出力が272馬力から304馬力に出力アップ(トルクは370Nmで変更なし)、更に6速MTのファイナルもローギアード化されています。
ただ、乗り比べると出力アップよりもエンジンの特性の違いのほうが大きいかなと。
具体的にはターボラグが抑えられたうえで実用域のトルクバンドがより広がったような印象を受けました。
恐らくGRヤリスが2速か3速か悩むコーナーでもGRカローラは迷うことなく3速を選べるくらいの粘り強さが感じられます。
ちなみにゼロ発進からの加速力はGRヤリスとほぼ同等レベルですが、そこから先は車重で相殺されているのか+32馬力はいうほど体感できず。
また、高回転域の伸びが苦しそうなので早めのシフトアップのほうが速く走れるかなと思いました。