トヨタ社長自ら「水素GRヤリス」で走った! 水素で「Fun to Drive」を発信! 11月「ラリージャパン」はどうなる?
TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamは、WRCベルギーにて水素エンジンを搭載した「GR Yaris H2」のデモ走行がおこなわれ、デイ2ではモリゾウ選手(トヨタ社長・豊田章男氏)が自らドライブしました。
モリゾウ選手が水素GRヤリスでWRCを走った!
2022年FIA世界ラリー選手権(WRC)第9戦「イープル・ラリー・ベルギー」の競技初日、水素エンジン搭載の「GR Yaris H2」はユハ・カンクネン氏のドライブで欧州のラリーファンにその走りが披露されました。
その日の夕方、サービスパーク内のガレージでラリーカーと共に翌日の整備がおこなわれていましたが、あるエンジニアがリアクォーターに丁寧にステッカーを張り始めました。
そのステッカーには「MORIZO」と書かれていたのです。
競技二日目、それは現実となりました。
SS11でモリゾウこと豊田章男社長は自らGR Yaris H2のステアリングを握って走行しました(コ・ドライバーは何とカンクネン)。
恐らく、豊田社長がWRCのステージを走ったのは筆者(山本シンヤ)が知る限り初となります。
サプライズ走行の後に直撃インタビューを実施しました。
なぜ、欧州で水素エンジンを走らせたのか、WRCのコースの印象は、そして3か月後に迫るWRCジャパンへの期待など、色々な質問をしてみました。
―― 今回、ベルギーで水素GRヤリスのステアリングを握ると決めたのは、いつ頃ですか。
豊田:本当にギリギリですよ。私はさまざまな顔を持っているので、中長期的なスケジュールを組むのが正直難しいです。
別に隠していたのではなく、「タイミングが上手くあった」といったほうが正しいかもしれませんね。
―― 2022年6月の富士24時間にラトバラ代表が来日してCorolla H2 Conceptのドライバーとしてステアリングを握ったことがキッカケだったと聞いています。
豊田:それは本当の話です。
さらに今回はサービスパークの電源の一部をMIRAIから供給しているのですが、これはS耐(ルーキーレーシング)の取り組みの水平展開となります。
これもラトバラさんの「なぜ、ここのピットは綺麗なの?」、「音がしないの?」という驚きから、アジャイルに実行しました。
今回はまだトライアルですが、この取り組みは今後も広げていきたいと思っています。
―― そんなに短い期間で実現出来るとは驚きです。
豊田:ラトバラさんと私は、WRCチームの代表とトヨタの社長と言う関係ですが、二人共にカーガイ/クルマ好き/負け嫌いな人間です。
この二人が会話をしているので、色々なことが短い時間で成り立つのです。
―― 豊田社長が海外でステアリングを握ったのは、ニュルブルクリンク(ドイツ)以来だと思いますが、そうですか。
豊田:一般公道となると、アストンマーティンの元CEOであるウルリッヒ・ベッツさんと一緒にテストドライブでイギリスを走ったのと、成瀬(弘)さんとの運転訓練でニュル近郊のカントリー路を走った時以来ですね。
もちろん、WRCのコースは初めてです。
―― 実際にWRCの道を走った感想は?
豊田:SS11は15kmくらいの距離です。
いつも参戦しているラリチャレのSSは2-4kmくらいなので、「長いだろうな?」と思っていたのですが、走らせたらあっという間でした。
ベルギーのSSはターマックのなかでも厳しいコースだと聞いていましたが、実際に走ってみるとこんなに凄いのね……と。
コースコンディションも時々刻々と変化、道が狭いので滑ったらマージンもない厳しい道でした。
そもそも、普段はトラクターなどが走る道ですからね。
ただ、コ・ドライバーのカンクネンさんの的確な道案内と私の技能に合わせたアドバイスがあったので、安心して走ることができました。
ただ、この後動画で運転のチェックをされると思います(笑)。
―― カンクネンはWRC界のレジェンドの一人ですが、横に乗せてのドライビングは緊張しませんでしたか?
豊田:実は今回が初めてではなく、フィンランドでの雪上トレーニングのときにカンクネンさんに共に色々と教わりました。なので、先生と生徒のような感じですよ。
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モリゾウ選手の走行後、カンクネン氏に豊田社長のドライビングを聞くと次のように答えてくれました。
「ベルギーの道は狭くて滑りやすいので非常に難しいコースです。
そんななかでもすごくスムーズでクリーンに運転していました。
ステアリング操作もブレーキングもいうことはないです、パーフェク!」
―― そんなカンクネン氏のコメントに対して、自分で採点すると?
豊田:そもそもデモ走行ですからね(笑)。
とにかく安全第一、無傷で戻ってきたので70点くらいかな。
このコースはラリーカーは大胆にインカットしながら走りますが、私も安全な所で1度だけ試しましたが、いいですね。
運転しながら周りも見る余裕もありましたが、欧州のファンが応援してくれているのも実感できました。