【レース現場から市販車が誕生!?】 GRが掲げる「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」とは
失われた20年を取り戻す! そしてラリーで勝てるクルマを目指した「GRヤリス」
なかでもラリーは「普段走る道でいかに速く走るか」を競うモータースポーツカテゴリーとなります。
その最高峰となるWRCは、世界のさまざまな道を知り、人とクルマを鍛え、技術を高めるための最高の舞台です。
GRは「精度の高い物」を「短時間」かつ「少ない人数」で開発するといったWRCの挑戦を、量産車開発に本気で活かそうと考えました。
そのひとつが2020年に登場した「GRヤリス」です。
このモデルは1999年に生産終了した「セリカGT-FOUR」以来のスポーツ4WDであると共に、10数年ぶりとなるトヨタ独自開発スポーツカーです。
2019年に登場した「GRスープラ」はBMW、2021年に登場した「GR86」はスバルとの共同開発が話題になりましたが、なぜGRヤリスは独自開発をおこなったのでしょうか。
それはトヨタから失われていた「スポーツ4WD開発の技術/技能」を取り戻すためでした。
そのためには自分達の手を使って知見やノウハウを構築していく必要があった……というわけです。
この失われた20年を最短で取り戻すために、GRはモータースポーツから学ぶ開発を選択しました。
ちなみに、強いクルマ作りは当時WRカーの開発をおこなっていたTMR(トミ・マキネン・レーシング)から、市販車では考えられない極限の評価に関しては鋭いセンサーを持つレーシングドライバー/ラリードライバーから、学んだそうです。
そのうえで、トヨタのルール/基準を超えた設計、データとドライバーのコメントを紐づけしたテスト方法、その場で直してすぐに乗るというスピード感。
プロドライバーの積極的な起用、最後の最後までカイゼンの手を止めないしつこさ……など、すべてにおいて従来のトヨタの常識を覆す手法が取られています。