トヨタ2代目「GR86」に初代オーナーも嫉妬する!? 大きく進化を遂げた“ハチロクらしさ”とは
トヨタのFRスポーツカーとして2代目「GR86」が2021年10月28日に発売されました。刷新された新たなGR86は、どのような部分が進化しているのでしょうか。
「86」から「GR86」へ大きく進化!
2021年7月のスバル2代目「BRZ」正式発表から約3か月、トヨタ「86」改め、「GR86」が同年10月28日に発売されました。
2代目となるGR86は、初代と同じくトヨタとスバルの共同開発によって生まれたモデルですが、大きく違う点があります。
もちろん、ブランドがトヨタからGRになったのも大きな変化ですが、それよりも大きな変化は「立ち位置」でしょう。
2012年にデビューした初代86は5年ぶりに復活したトヨタスポーツであり、さまざまな期待やミッションを1台で背負う必要がありました。
しかし、2代目GR86は「GRスープラ」「GRヤリス」という仲間が増えたことで、その役目がより明確になったと思います。トヨタのスポーツカーがゼロになった時代を知る者からすると、何とも感慨深いことです。
そんな2代目GR86をエクステリアから見ていきましょう。
Aピラーからトランクまでのフォルムに初代モデルの面影が残りますが、全面的に刷新されました。
フロントマスクはGRブランド共通となる「ファンクショナルマトリックスグリル」や、GRスープラ、GRヤリスとイメージを統一したL字のデイタイムライトが埋め込まれたヘッドライトが特徴です。
初代モデルに装着されていたフォグランプが採用されず、その代わりに冷却用ダクトが設けられています。
サイドはフロントフェンダーのエアアウトレットとサイドシルスポイラーがポイント。
エアアウトレットはレクサス「RC F」を彷彿とさせるデザインですが、単なる意匠的なものではなく、タイヤやホイール周辺に発生する乱気流を抑えて操縦安定性を高める効果があります。
タイヤはエントリーグレードの「RC」が16インチ(205/55R16)、中間グレードの「SZ」が17インチ(215/45R17:ミシュランプライマシーHP)、最上級グレードの「RZ」が18インチ(225/40R18:ミシュランパイロットスポーツ4)を採用。
16インチは交換前提のスチールホイール、17/18インチは新デザインのアルミホイールとの組み合わせです。
ちなみに18インチはGRヤリスと共通デザインの日本刀を意識した細身の10本スポーク(マットブラック塗装)で、GRブランドとしての統一性もバッチリです。
リアはフェンダーからギュッと絞り込まれたデザイン処理により、初代モデルよりも凝縮感が高められています(実際のリアオーバーハングは初代+10mm)。
リアコンビランプはサイド部が「ヤリス」を彷彿とさせるデザインとなり、トランクはダックテール形状でスポイラーは未装着ながらも、初代モデルに装備されていたリアスポイラー並みの空力特性を備えているそうです。
インテリアは初代モデルで評価された機能性をより研ぎ澄ましながら、課題となっていた質感の向上や、さらに令和のスポーツカーらしいデジタルを上手に融合させたデザインとしました。
インパネ周りは運転に集中するために水平基調を強調するとともに、インパネ上部はフラットでメーターバイザーも突起を抑えた形状で運転に集中できる環境づくりがおこなわれています。
ちなみにGRヤリスは上部にモニターが大きくはみ出ているので左前方の視界が今ひとつ。この辺りは水平展開すべき点でしょう。
メーター周りは一新され、7インチ液晶+セグメント多機能型デジタルメーターを採用(デザインモチーフは水平対向エンジン)。
メーター表示は2種類用意されており、ノーマルモードは初代モデルの進化版といえるデジタルスピードメーター+アナログタコメーターの組み合わせ、トラックモード時はレーシングカーを彷彿とさせるバー式のタコメーター+シフト位置が中心の表示です。
インパネセンターのレイアウトは初代と大きく変わらないものの、空調スイッチのデザインやカラーコーディネイト、異なる素材の調和などにより、子供っぽさが薄れて大人も納得の質感を手に入れています。
ナビゲーション/オーディオは初代モデルに続いて2代目GR86でもディーラーオプション対応ですが、時代に合わせて9インチの大画面対応なのは嬉しい進化です。
また、MTとATで機能を分けたセンターコンソールを採用するなど利便性・実用性も高められています。
さらに初代モデルで課題のひとつだったシートも刷新され、実際に座るとホールド性やフィット感の向上だけでなくフレームを含めた剛性の高さを実感できます。
ちなみにインテリアカラーはグレードによりブラック/シルバーとブラック/レッドが用意されていますが、最上級のRZにはカーペットやドアトリムがレッドになる仕様がセレクト可能です。
じつは似たような仕様は初代モデルにも存在しましたが、2代目GR86のそれは大人も似合うコーディネイトに仕上がっています。
居住性は初代モデルとほぼ同じですが、乗員をより低く(ヒップポイント:−5mm)、より内側(左右カップルディスタンス:−7mm)に座らせることで、低重心/低慣性モーメントにも貢献。
また、初代モデルがこだわった「タイヤ4本搭載可能」なラゲッジスペースも2代目GR86に継承されています。