常識を変えた 新型「Aクラス」、走りはCクラス、装備はSクラス以上!?

日本でも人気のコンパクトカー、メルセデス・ベンツAクラス。ついにフルモデルチェンジした新型モデルが登場です。メルセデス・ベンツが4年以上に渡って開発し、その過程で4大陸を述べ1200万キロも走って開発した新型「Aクラス」はどんなクルマに仕上がっているのでしょうか

これまでの自動車の価値観を変える存在、それが新型「Aクラス」

 メルセデス・ベンツの新型「Aクラス」はまさに「今までの自動車の価値観を大きく変えるインパクトを持った存在」、そんな表現がふさわしい1台です。今回、筆者(河口まなぶ)はクロアチアのスプリトという街を舞台に開催された、新型Aクラスの国際試乗会に参加したわけですが、真っ先に感じたのが冒頭の言葉のような印象でした。

メルセデス・ベンツ 新型「Aクラス」(欧州仕様)

 なぜなら新型Aクラスは従来通り、欧州Cセグメント(以下Cセグ、日本でいうコンパクトカークラス)に属すモデルですが、まずはこのCセグの常識をことごとく覆している存在なのです。

 この理由はまず乗って走らせた印象にありました。

 今回の新型「Aクラス」試乗会で、筆者が最初に乗ったのは「A250 エディション1」というモデル。メルセデス・ベンツが新型モデルの導入時に必ず用意する限定モデルです。

 「A250」の装着タイヤは19インチで、可変ダンピングシステムを備えた仕様だったのですが、これを走らせた瞬間、「Cクラスに並んだ?」と思ったほどでした。そう、1セグメント上の同社の基幹車種であるCクラス並みに、乗り心地が優れていたからです。

 その感覚は、まるで路面をきれいに踏み慣らして真っ平らにした上を走っているかのように感じさせるほどでした。路面の荒れたところや段差も見事にいなしており、実に滑らかに走り出したからです。これはもはや、このクラスのどのモデルも超えている、と思えたほどでした。

 またカーブを曲がる際なども、ハンドルを操作していくと、軽い操作感ながらもしっかりと芯を感じ、ほとんどクルマが傾かないような感触でスッと曲がっていきます。この辺りはいかに新設計のボディがしっかりと作られていて、そこに取り付けられた足回りがよく動いているかの証です。

 走行時の静粛性の高さも優れており、この辺りも同クラスのライバルを置き去りにした感があります。しかもこの「A250」の場合は、エンジンと室内の間にある隔壁の前に、もう一枚、遮音のためのカバーを取り付けていることもあって、エンジンのノイズ等はしっかりとカットされています。この結果、気持ち良い回転音だけを伝えてくれるわけです。

 こうして新型Aクラスは、“走る・曲がる・止まる”というクルマの基本性能において、この欧州Cセグの常識を覆しているのです。この辺りはさすがに、4年以上に渡って開発され、その過程で4大陸を述べ1200万キロも走って開発しただけある、といえる部分です。

 さらにADAS(運転支援)を含んだ安全装備も、今回のAクラスはこの欧州Cセグの常識を覆しています。簡単にいってしまえば、上級のEクラスやSクラスと同じ装備が与えられているのです。

 自動ブレーキはもちろん、前走車との距離を一定に保ってアクセル/ブレーキ/ハンドルをクルマの側で操作してくれる、「アクティブ ディスタンス アシスト ディストロニック」のステアリング・アシスト付きが与えられます。さらに「ブラインド スポット アシスト」は、車両を路肩の駐車枠に止め、エンジンを停止した後も3分間有効。このため、クルマから降りる時の後側方から来る車両や自転車に対しても反応します。

 そしてEクラスに搭載されて話題となった、ウインカー操作だけで車線変更する「アクティブ レーン チェンジ アシスト」は、複数車線道路で時速80~180キロで作動。ウインカーを出すと10秒以内に、前方、側方、後方の隣車線に障害がないかを確認し、周辺車両の車速も把握しつつ安全であれば車線を変更してくれるのです。

 このように安全に関しても、Aクラスは相当にリッチなモデルとなっており、ライバルを大きく引き離しています。

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