落札価格1億円! ポルシェ「959」は未来の911の姿だった!?

1980年代のポルシェが持てるテクノロジーを詰め込んだ「959」の市販台数は292台。その希少性から人気の高い959のオークション落札価格は、1億円オーバー。どのような959のストーリーに人は惹かれるのであろうか。

ポルシェ959は、未来の911の姿を見せるマスターピースだった

 1983年秋に開催されたIAA(フランクフルト・ショー)で、プロトタイプの「グルッペB」を世界初公開したポルシェ。このグルッペBは、その車名が物語るように、当時のFIA(国際自動車連盟)が、1981年に新たに発行したスポーツカーレースのカテゴリー分けである、連続する12か月間に200台以上の生産を車両規定とするクラスへの参入を意識したモデルだった。

 ただ実際にその生産型が発表されたのは1985年のことであり、デリバリーは1987年を迎えてからのことになるから、実際にはこの時点でグループBによって争われる選手権は存在しなかった。

ポルシェ959は、トータルで292台が生産されたうちの263台は豪華な内装や装備を持つコンフォート仕様である(C)2020 Courtesy of RM Sotheby’s

 それでもポルシェが「959」を市場へと送り出したのは、当時のポルシェが持つ最先端の技術を、広く世界のカスタマーに披露することにあったのではないか。

 未来において伝統のポルシェ「911」は、このような技術を搭載してスポーツカーの試乗に存在し続ける。959はまた、それを宣言するためのマスターピースであったと考えてもよいだろう。その証明ともいえるのが、これだけ多くの新技術を採用しながら、リア・エンジンの基本設計だけは、頑なにそれを守り続けていること。

 わずか200台のグループB車両であれば、エンジンの搭載位置をミッドシップとするということを考えても、それは自然な発想といえるだろう。だがポルシェは、未来の911たる959でそれを選択しなかった

 まずは959のスタイリングを見る。一見フェンダーまわりをダイナミックな造形としただけにも見える959のボディだが、実際にそのデザインを詳しく見ていくと、当時の911と共通しているのは、ルーフラインなどごく一部に限られていることが分かる。

 スムーズな曲線を用いて、大胆なボリューム感を演出する手法は、完全に959のオリジナルであり、フェンダーと一体化され峰が低くデザインされたヘッドランプや、フェンダー上のスリットなどは、後の911に受け継がれたディテールでもある。

 実際にポルシェが実現したCd値は0.31。当時ポルシェからは959の最高速は314km/hという数字が発表されているが、それを可能にしたのも、この優秀な空力性能を持つボディが大きく貢献したものであることはいうまでもない。

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