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メルセデス・ベンツ「EQXX」が1充電で1000km突破! ドイツからアルプス越えでフランスまで走破できた理由とは

ベンツ伝統のロングドライブで性能を証明

 2022年4月にメルセデス・ベンツは、コンセプトカーの「VISION EQXX」で一充電あたり1000km以上もの距離を実際に走行したと発表した。

 EQXXは、超長距離走行を可能とする次世代のEVを目指してメルセデス・ベンツが開発したクルマだ。凹凸の抑えられたしずく型のボディと、速度に応じて伸びる電動リアディフューザーによって、0.17という驚くほどのCd値をマーク。この空気抵抗の良さにプラスして、車両重量は1755kgという電気自動車としては圧倒的な軽さを実現している。

ヨーロッパの高速道路を走行するメルセデス・ベンツ「VISION EQXX」(C)Mercedes Benz Group
ヨーロッパの高速道路を走行するメルセデス・ベンツ「VISION EQXX」(C)Mercedes Benz Group

●充電無しで、シュトゥットガルドからコート・ダジュールまで

 EQXXに積まれるバッテリーは、EQSと同等の100kWhの容量ながらサイズは半分以下だという。さらに冷却方式も水冷式よりもコンパクトで軽量な空冷式へと変更されている。

 実走行時の計測開始地点は、メルセデス・ベンツの地元であるシュトゥットガルド近郊のジンデルフィンゲン。そこから1度も充電することなく、スイスのアルプスを通過し、北イタリア、フランスへまで足を伸ばした。そしてスタートから12時間後、フランス南部のコート・ダジュールのカシスにて遂に1008kmを達成したという。

 驚くべきポイントは、ゴール時にまだ140kmも走行できるだけの電力がバッテリーに残っていたことだ。さらにこのロングドライブでは、走行中に冷却用の電動フロントグリルが一切開かなかったという。パワートレインの効率が約95%と非常に良く、排熱がほとんど起こらなかったからだ。つまりフロントグリルが常に閉じていることによって、開発陣の予想よりも高効率な走行ができていたということだ。

 加えて今回の1000kmの走行テストでは、極端なエコ走行はおこなっていない。アルプスではワインディングを楽しみ、ドイツのアウトバーンでは140km/hの高速走行もおこなったという。

 つまりコンセプトカーとはいえ、現実的なクルマが一般的な走りで1000kmを普通にこなしたということ。EVが普及するにあたって問題とされる充電施設などのインフラへの不安や走行距離という問題を、クルマそのものの効率を高めて航続距離を伸ばすことで解決しようとする考え方は、メルセデス・ベンツがいかに真剣にEVの普及を考えているかを表している。

 また、バッテリーの量ではなく電費の良さで航続距離を稼ぐ方法は、バッテリー素材の使用量を減らすことによる環境への配慮や軽量化による車両性能向上が見込めるのではないだろうか。

 もしEQXXの効率の良さをそのまま市販車に適応できれば、従来と同じバッテリーサイズでも超長距離が走れるようになるかもしれない。もしくはその効率の良さを活かして、十分な走行距離を備えつつも小さく軽いバッテリーを搭載したライトウェイトスポーツEVも登場するかもしれない。今後のメルセデス・ベンツに注目だ。

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