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本物のフェラーリなら3億円オーバー! センターシートの「デイトナ スパイダー」が約250万円の秘密とは

もはや大衆車を新車で購入できるほど高額な大人のおもちゃ

 いわゆる「チルドレンズカー」あるいは「ジュニアカー」と呼ばれる、一応は子ども向けというフォーマットで作られつつも、その実は裕福なコレクター向けに作られたとしか思えないほどに高度な「小さな名車たち」は、海外の一流オークションにおいて続々と高値落札されている。

 さる2022年2月、RMサザビーズ欧州本社がパリ市内で開催した大規模オークション、その名も「PARIS」にも、小さなフェラーリ・デイトナ・スパイダー「ハリントン・デイトナ(Harrington Daytona)」が出品されたのだが、実はこのチルドレンズ・カーは、本物のスーパーカーの巨大なコレクションで有名な「THE PETITJEAN COLLECTION」から放出されたロットの一部だったのだ。

ステアリングはセンターに設けられている(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's
ステアリングはセンターに設けられている(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's

●“ハリントン・ジュニアカー”の作ったデイトナ

 今回RMサザビーズ「PARIS」オークションに出品されたハリントン・デイトナは、イギリスに本拠を置く「グループ・ハリントン(Group Harrington)」がプロデュースした、スタイリッシュでリアルなチルドレンズカーである。

 グループ・ハリントンについて調べてみたところ、人気のあるクラシックカーの補修需要に応えて、ステンレススチール製のバンパーを生産・販売するサプライヤーであることがわかった。ベトナム・ホーチミン郊外に工場を建設し、かなり大規模なビジネスを展開しているという。

 また、バンパー生産のかたわら長年培った技術力を生かして、今世紀初頭からは「ハリントン・ジュニアカー(Harrington Junior Car)」というブランドを掲げて、往年の名車たちをモデルとした高級なチルドレンカーも製作しているとのことである。

 現在では、「ACコブラ」を模した「COBRA 289」やジャガー「Eタイプ・シリーズ1」を模した「Series1」。フェラーリ「250GTスパイダー・カリフォルニア」を模した「Spyder」。メルセデス・ベンツ「300SLロードスター」を模した「300」。そして最初期のランドローバー「ディフェンダー」を模した「Land Junior」など数多くのラインナップをそろえ、いずれも1万ドル以上の高価格で販売されていることが公式HPにて確認できる。

 いずれのモデルも専用のジグで組んだパウダーコート済みのラダーフレームに、グラスファイバー製のボディとコンポジットのフロアパンを組み合わせる。

 またスチール製のサスペンションスイングアームと、アルミニウム/高張力鋼鉄を併用した前輪のスタブアクスル、アルミニウム製フロントハブ、スチール製リアドライブシャフト/リアハブを持つなど、かなり本格的な構成となっているようだ。

 一方、ホンモノのフェラーリ・デイトナと同じくフロントにマウントされ、後輪を駆動するパワーユニットは、排気量110ccの空冷4ストローク単気筒ガソリンエンジン。最高出力は5.0kw/8500rpm、最大トルクは6.6Nm/6500rpmを発生するとともに、1時間の走行につき約1.5リッターのガソリンを消費するとされている。

 この単気筒エンジンに、3速シーケンシャル式(クラッチレス)で後退ギアも組み込んだセミオートマチックギアボックスを組み合わせ、スタンダードチューンでは最高速度47km/hを実現するとのことながら、子どもの搭乗時にはスピードを制限するリストリクターを装着することもできるという。

 さらにヘッドライトや補助灯、ホーン、電動スターターキー、インジケーターに必要な電力は12ボルトのバッテリーで賄われることになっている。

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