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ポルシェはエンジンを見捨てていなかった! 代替燃料「eフューエル」を使うメリットと課題とは

既存のエンジン、既存のインフラを使える希望の星とは

 ポルシェは2022年4月、これまで関わってきた「eフューエル」の研究にさらなる投資をおこなうと発表。eフューエルのパイロット生産工場を建設中のHIFグローバルLCCに7500万ドルの追加投資をおこなったという。

930型「911ターボ」のエンジン。eフューエルでこのエンジンサウンドを楽しめる日が訪れるかもしれない(C)Porsche
930型「911ターボ」のエンジン。eフューエルでこのエンジンサウンドを楽しめる日が訪れるかもしれない(C)Porsche

 このeフューエルは、再生可能燃料や合成燃料に分類される、内燃機関用の燃料だ。簡単に概略をいうと、電気を供給することで稼働する電解槽を使用して、水を水素と酸素に分解。その水素を空気中の二酸化炭素と結合させて合成メタノールを生成し、さらに加工することでeフューエルが発生する。

 このように、製造にはいくつもの工程と大量の電気が必要なため、様々な研究機関や企業が製造法を模索しているというのが現状だ。HIFグローバルLCCでは、風力発電といった再生可能エネルギーを使用して、eフューエルを製造しているが、生産量が限られているため市販化までの道のりはまだまだ長い。

●eフューエルを使うメリットとは

 そんな、現状ではコストパフォーマンスに優れない燃料をなぜ研究し続けるのか。理由はいくつかあるが、まずひとつが、eフューエルは既存のガソリンステーションを利用できるということが挙げられる。

 水素ステーションやEV用の充電スタンドは、新たに専用タンクを用意したり、充電機を設置したりするなど、建設に莫大な費用がかかってしまう。それが普及するうえでの妨げになっている。

 そしてもうひとつが、何よりポルシェが注目しているポイントで、既存のガソリンエンジンにそのまま使えるということだ。しかも二酸化炭素の排出量は、ガソリンよりも圧倒的に少ない。これまで製造したクルマの70%以上が未だに現役で走っているポルシェにとって、ガソリンの代替燃料としてそのまま使えるeフューエルは、希望の星なのだ。

 今回投資を受けたHIFグローバルLCCが研究・開発するeフューエルは、2022年中旬以降に製造を開始する予定。まずはモータースポーツシーンに進出するという。

 その後、ポルシェ工場のような自社内で使い、さらにはポルシェ・エクスペリエンスセンターの車両に採用される予定だ。

 EVでは味わえないサウンドと、エンジン回転数の高まりとともに盛り上がる加速感は、ガソリンエンジンでしか味わえない。それを存続させられる「eフューエル」は、クルマ好きが注目するべき代替燃料なのもしれない。

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