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意のままに操れる「CX-60プロト」はマツダ車の面目躍如! 乗ってわかった新開発シャシが秘めた可能性

スポーツカー級のパワーと大排気量ディーゼルに迫るトルク

 つづいてドライブしたのは、マツダ初となるPHEV仕様。“e-スカイアクティブPHEV”と名づけられた新開発のパワートレインは、2.5リッターの直列4気筒ガソリンエンジンにモーターと17.8kWhのバッテリーを組み合わせる。マツダによると、満充電時であればモーターだけで61〜63kmほどの距離を走れるというから、日常的な使い方であれば大半はモーター走行だけでまかなえるユーザーも多いだろう。

 それでいてこのパワーユニットは、エコ一辺倒ではなくパフォーマンス追求型なのが特徴だ。エンジンとモーターを合わせたシステム総出力は最高出力327ps、最大トルク500Nmを発生。マツダによると、最高速度は200km/h、静止状態から100km/hまでの到達タイムは5.8秒だという。ちなみに最高出力は、ホンダのスポーツハッチ「シビック タイプR」に搭載された2リッター直4ターボ(320ps)を凌駕し、最大トルクは“e-スカイアクティブ-D”に迫る。つまり“e-スカイアクティブPHEV”は、高性能スポーツカーに匹敵するパワーと、大排気量ディーゼルターボに迫るトルクを兼備した強心臓なのだ。

“e-スカイアクティブPHEV”と名づけられたマツダ初となるPHEV仕様は、2.5リッターの直列4気筒ガソリンエンジンにモーターと17.8kWhのバッテリーを組み合わせる
“e-スカイアクティブPHEV”と名づけられたマツダ初となるPHEV仕様は、2.5リッターの直列4気筒ガソリンエンジンにモーターと17.8kWhのバッテリーを組み合わせる

 そのため、ムチをくれたときの走りは迫力満点だ。応答性に優れるモーターの力強さと、いかにも自然吸気のガソリンエンジンらしいレーシーなサウンドとが重なって、胸のすく加速を味わわせてくれる。

 ドライバーの気分を盛り立てるサウンドの演出が施されるのは“e-スカイアクティブ-D”と同じだが、PHEV仕様の方がより人工的なスパイスが利いていて未来的な印象。人によっては過剰演出と思うかもしれない。

 また、PHEVはアクセル開度が小さい領域ではモーター駆動が基本となるため非常に静かだが、アクセルペダルを深く踏み込んだ際は音が劇的に変化。それとともに、強烈な加速感をもたらしてくれる“キャラ変”が特徴のパワートレインでもある。

●KPCの搭載を前提としたサスペンション設計

 今回は、直6ディーゼルターボとPHEV仕様という2台をドライブしたが、いずれにも共通するのは新設計シャシがもたらすすっきりとした走行フィールだ。

 サスペンションはフロントにダブルウイッシュボーン、リアにマルチリンクを採用するが、サスペンションの強度やジオメトリーなどをゼロから開発し直したことで、ブレーキング時のノーズダイブやコーナリング時の過大なロールなど、不快な動きが出さないよう配慮されている。

サスペンションはブレーキング時のノーズダイブやコーナリング時の過大なロールなど、不快な動きが出さないよう配慮。マツダの新しい武器=KPCの搭載を前提とした設計となる
サスペンションはブレーキング時のノーズダイブやコーナリング時の過大なロールなど、不快な動きが出さないよう配慮。マツダの新しい武器=KPCの搭載を前提とした設計となる

 またCX-60は、先の「ロードスター」の商品改良で採用された、コーナリング時に内側のリアタイヤに微小な制動をかけて車体の浮き上がりを抑える“KPC(キネマティック・ポスチャー・コントロール)”も採用。KPCをより効果的に利かせるべく、設計初期の段階からKPC前提のサスペンション設計を施したという。

 KPCは背の高いクルマほど効果を得やすいこともあり、CX-60との相性は抜群。重量配分などシャシ自体の進化もあいまって、次のカーブが待ち遠しくなるほど安定した姿勢を保ったまま気持ちよく向きを変えていく。

 後輪駆動ベースになろうが、ボディが大きくなろうが、やはりマツダ車はマツダ車だった。ドライバーが意のままに操れる楽しさは、CX-60最大の魅力といえるだろう。同社がこれまで培ってきた技術とノウハウがフルに投入された最良のマツダ車、それがCX-60なのである。

●Mazda CX-60 Prototype e-SKYACTIV D
マツダ CX-60プロトタイプ e-スカイアクティブD
・全長:4742mm
・全幅:1890mm
・全高:1691mm
・ホイールベース:2870mm
・エンジン形式:直列6気筒DOHCディーゼルターボ+モーター
・排気量:3283cc
・駆動方式:4WD
・エンジン最高出力:254ps/3750rpm(日本仕様社内測定値)
・エンジン最大トルク:550Nm/1500〜2400rpm(日本仕様社内測定値)
・モーター最高出力:17ps
・モーター最大トルク:153Nm
・サスペンション:(前)ダブルウイッシュボーン式、(後)マルチリンク式
・ブレーキ:(前)ベンチレーテッド・ディスク、(後)ベンチレーテッド・ディスク
・タイヤ:(前)235/50R20、(後)235/50R20

●Mazda CX-60 Prototype e-SKYACTIV PHEV
マツダ CX-60プロトタイプ e-スカイアクティブPHEV
・全長:4742mm
・全幅:1890mm
・全高:1691mm
・ホイールベース:2870mm
・エンジン形式:直列4気筒DOHC+モーター
・排気量:2488cc
・駆動方式:4WD
・エンジン最高出力:191ps/6000rpm(欧州仕様プロトタイプ)
・エンジン最大トルク:261Nm/4000rpm(欧州仕様プロトタイプ)
・モーター最高出力:175ps/5500rpm
・モーター最大トルク:270Nm/4000rpm
・サスペンション:(前)ダブルウイッシュボーン式、(後)マルチリンク式
・ブレーキ:(前)ベンチレーテッド・ディスク、(後)ベンチレーテッド・ディスク
・タイヤ:(前)235/50R20、(後)235/50R20

Gallery 【画像】後輪駆動ベースでもマツダ車らしさは不変の「CX-60」を写真で見る(19枚)
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