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マツダのキーパーソンが証言「CX-60」はなぜプレミアム路線、マルチシリンダー、大排気量を選んだのか?

ラージ商品群の投入はマツダにとって大きな決断

 先ごろお披露目されたマツダのミッドサイズSUV「CX-60」の日本仕様が人々の注目を集めている。

ついにお披露目されたマツダのミッドサイズSUV「CX-60」の日本仕様。内外装の上質な仕立てや価格情報などが多くの人々から注目を集めている
ついにお披露目されたマツダのミッドサイズSUV「CX-60」の日本仕様。内外装の上質な仕立てや価格情報などが多くの人々から注目を集めている

 さかのぼること約半年前の2021年10月7日、マツダはクロスオーバー商品群の拡充計画を発表。それによると、2022年から2023年にかけて、CX-60を筆頭に「CX-70」、「CX-80」、「CX-90」という全4モデルが続々と市場投入されることになっている。

 このうち日本市場へ投入されるのは、CX-60とCX-80。今回お披露目されたCX-60は2列シート仕様、今後登場するCX-80は3列シート仕様で、現状の「CX-5」、「CX-8」と同じ関係性にある。ちなみに、CX-70とCX-90はCX-60とCX-80のそれぞれワイドボディ版で、こちらは北米がメインマーケットとなる。

 CX-60、CX-70、CX-80、CX-90は、マツダがいうところの“ラージ商品群”に位置づけられる。従来からある“スモール商品群”との決定的な違いは、エンジンやトランスミッションなどで構成されるパワートレインのレイアウトにある。

 CX-5やCX-8、もっといえば「CX-3」や「CX-30」といったスモール商品群に位置するSUVは、エンジンとトランスミッションを横置き=左右方向に搭載。4WD仕様もあくまでベースは前輪駆動となる。

 一方、CX-60をはじめとするラージ商品群は、エンジンとトランスミッションを縦置き=前後方向に搭載した後輪駆動レイアウトがベースとなる。パワートレインのパッケージングがスモール商品群とは異なるため、シャシは当然、新設計。その開発には多額の投資が必要となる。

CX-60をはじめとするラージ商品群は、エンジンとトランスミッションを縦置き=前後方向に搭載した後輪駆動レイアウトがベース。当然、シャシなどは新設計で、開発には多額の投資を必要とした
CX-60をはじめとするラージ商品群は、エンジンとトランスミッションを縦置き=前後方向に搭載した後輪駆動レイアウトがベース。当然、シャシなどは新設計で、開発には多額の投資を必要とした

グローバル販売台数が130万台ほどという小規模なマツダにとって、ラージ商品群の投入はそれだけ大きな決断だったことがうかがえる。

●上級志向のユーザーの受け皿がマツダには必要だった

 ではなぜ、マツダはラージ商品群を市場投入するのだろう? 同社でR&D管理・商品戦略・技術研究所・カーボンニュートラルなどの部門を担当する常務執行役員の小島岳二さんは次のように解説する。

「マツダは2012年に、次世代技術である“スカイアクティブ”をエンジン、トランスミッション、ボディ、シャシの全領域に採用した初代CX-5を発表し、その後、CX-8や『マツダ6』、北米専用車種の『CX-9』、など、アッパークラスのモデルを順次、市場投入してきました。

 しかし、それらをご購入いただいたお客さまが次のクルマを選ばれる際、受け皿となるべきモデルがマツダにはありませんでした。各マーケットで似たような現象が起きているのですが、一番厳しいのはアメリカです。そのため、上級志向のお客さまに対する受け皿をマツダ内にきちんと用意すべきだと考え、ラージ商品群を市場投入する決断に至りました」

 スカイアクティブ技術の導入以降、マツダは“いいクルマ”を多数世に送り出してきた。しかし、マツダ車に触れて舌の肥えた上級志向のユーザーは、マツダ車に乗りつづけたいとの思いはあっても、当のマツダには適当な選択肢がなかった。その結果、メルセデス・ベンツやBMW、アウディといったヨーロッパのプレミアムブランドへ顧客が流出していたのである。そのためマツダは一大決心をし、ラージ商品群という新たな受け皿を用意してきたのだ。

Nextライバルと互角に戦うための後輪駆動ベース
Gallery【画像】独創のアイデアを形にしたマツダ「CX-60」の日本仕様を写真で見る(16枚)

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