VAGUE(ヴァーグ)

フェラーリの大変革完了間近! 静かな跳ね馬「SF90ストラダーレ」を飼うにはオーナーの意識変革も必要だった

V8だが量産シリーズのフラッグシップとなる「SF90」

 期待の次期主力モデルであるプラグインハイブリッド車(PHEV)、「296GTB」のテストドライブを終え、スペインから帰国した筆者を待っていたのは、その兄貴分というべき「SF90ストラダーレ」と1週間を共にするという僥倖だった。

正式デビューは2019年。車名はスクーデリア・フェラーリ設立90周年を記念したもの(C)タナカヒデヒロ
正式デビューは2019年。車名はスクーデリア・フェラーリ設立90周年を記念したもの(C)タナカヒデヒロ

●「SF90」と「296」で始まったフェラーリの変革

 マラネッロにおけるハイブリッド史は始まったばかりだ。最初の電動化ロードカーはスペチアーレの「ラ フェラーリ」で、ピュアEV走行はなしの電気モーターアシストモデルだった。お次が今回の主役であるSF90シリーズで、フロント左右に1個ずつ、リアのエンジン〜ミッション間に1個、合計3個の電気モーターをV8ユニットに加えたPHEVとして登場した。

 いきなり3モーターのPHEVで、しかも限定ではなくシリーズモデルとして出してきたあたりに未来を睨んだマーケティング戦略が透けて見える。なにしろSF90はV8ミドシップ2シーターながら、V12フロントミド2シーターのフラッグシップモデル、「812」シリーズを上回る価格設定なのだ。つまりマラネッロは言外に「V8PHEVのパワートレインを積むモデルが量産シリーズのフラッグシップ」だとアピールしているようなもの。

 併せて、ハイブリッド第3弾の、これまたPHEVとした1モーターの296GTBは、V6エンジン搭載ながらF8シリーズよりも高い価格設定で、こちらもまた“後継車”に指名されたわけではないけれど、事実上、そういう位置付けになるといえそうだ。

 つまり、SF90シリーズと296シリーズの登場は、マラネッロの市販モデルラインナップにおける大変革だったというわけである。容易に想像できたことだが、昔からのカスタマーやファンからは少なからず疑問の声も上がっているようだ。どうして気筒数が減ったのに価格が高くなったのだ? と。

 フェラーリといえばスタイルとエンジンこそが最大の魅力だと信じて疑わない旧来のフェラリスティにしてみれば、電気モーター&バッテリーによるパフォーマンス増(と重量増)なんぞに支払う金は持ち合わせていない、というわけだろう。

 マラネッロもまたそういう声の上がることを予想していた。それゆえ車体パッケージの絶対的なパフォーマンス向上で、ネガティブな意見を一蹴しようと考えたのだ。SF90も、そして296も、我々の予想を上回る性能を発揮したことは既報のとおりで、なかでもSF90ストラダーレの“速さ”はラ フェラーリとタメを張る。今後のマラネッロ製ロードカービジネスはこの2機種に期待のSUV「プロサングエ」を加えた3モデルが大黒柱になるといっていい。

 というわけで、SF90ストラダーレは一体、何が新しくてどこが凄いのか。短時間の試乗では理解しきれなかった魅力をあらためて探るべく、1週間を共に過ごしてみることにした。パートナーとなったのはメディアによく登場するブリティッシュグリーンのアセット・フィオラーノ仕様である。

Next静かなフェラーリは果たして価値があるのか?
Gallery【画像】新時代フェラーリを代表する「SF90ストラダーレ」を見る(11枚)

page

  • 1
  • 2

RECOMMEND