実車のマシンを使用し、実車のようにあだ名も付けちゃう
新型コロナウイルスに感染してしまいF1初戦と2戦目に参戦することができなかったアストンマーティンF1のセバスチャン・ベッテルだが、彼が自宅に設置したシミュレーターが話題となった。
コロナ禍によって、実車やチームのシミュレーターを使える機会が減ってしまい、思うように練習がおこなえなかったというベッテル。本格的な練習をおこなうため、シミュレーター装置の開発・設計をおこなうPro Simの協力の下、2021年の7月から約2か月の月日を費やしてシミュレーターを設置したという。

シミュレーターといっても、スポーティな椅子と大きい画面だけ、といった安っぽい代物ではない。なんと、昨年のマシンである「AMR21」の実車をぶった切って筐体にしてしまったのだ。
シミュレーターは、座席から後ろの部分をスパッと切り落としたボディに、モニターや入力装置、フィードバック系の装置などを取り付けた代物。ミラーやヘッドレスト、ドライバーの頭部を守る安全装置であるHaloに至るまで、マシンに搭載されていたものがそのまま使われている。
ちなみに、ベッテルはユーモア豊かな人物としても知られている。突然坊主になって練習をしていたり、ドイツ人なのに英語の訛りで遊んだり、写真では大体いつも笑顔だ。そのようなエピソードはあまりにも多く、F1ドライバーのキミ・ライコネンからは「F1でもっとも性格のいいヤツ」などと呼ばれていたりもする。
●シミュレーターに「ハニー・ライダー」と名づける
そんな彼は、フォーミュラマシンに女性の名前をつけることでも有名だ。2011年のマシンには「キンキー・カイリー(変態カイリー)」、2013年のマシンには「ハングリー・ハイジ(腹ぺこハイジ)」といった具合。今回のシミュレーターには「ハニー・ライダー」という名が付けられており、これまでの変な名前と異なり、アストンマーティン=007という発想から、映画『007ドクター・ノオ』のボンドガールの名を採用したという。
完成後はベッテル自身によるテスト走行がおこなわれ、モニターを2枚から3枚にアップグレードしたり、不具合を修正したりするなどして、2021年下旬から本格稼働しているようだ。
前述したように、コロナ感染で2回の欠場を余儀なくされてしまったベッテルだが、現在のコンディションは良好で、4月10日に開催されるオーストラリアグランプリには参戦する模様。超本格的シミュレーターで鍛えられた走りに期待しよう。