メルセデスチューナーの新星OPUSの最新作とは
メルセデス・ベンツ・チューナーに限らず、ドイツのチューニング・マーケットの世界には、常に新たなブランドが誕生し、TUVからの認証を得て自動車メーカーにまで成功を遂げた老舗チューナーとの弱肉強食の争いがおこなわれる。そこで生き残るためには、世界中のチューニング・ファンの目にとまるような話題性豊かなモデルが必要になる。

ここで紹介するOPUS Automotive GmbHも、これからの成功を目指すドイツの新興勢力のひとつだ。エンジニアのルーカス・ドモガーラ氏によってオーガナイズされるこのOPUSの名を一躍有名にしたのは、2020年にメルセデスAMG「GTブラックシリーズ」をチューニングしたことに始まる。
彼らの本社はドイツのニュルブルクリンク・サーキット近くの工業団地内にあり、そこは長年メルセデスAMGが前線基地として使用してきた、由緒正しき施設でもあった。ここで彼らは最高出力1111psという驚異的なブラックシリーズを作り上げ、一躍注目を集めたのだ。
●OPUSのブラックシリーズの次の展開
同社を率いるドモガーラ氏は、そもそもアメリカでハイパーカーの販売代理店を経営していただけではなく、エンジニアとしての活動を20年以上にわたって続けてきた人物。
彼が新たにニュルブルクリンクという地を選んだのは、世界でもっとも過酷なサーキットであり、ここでテスト走行をすることがクルマを鍛えるためには最適な環境であることを知り得ていたからだ。
ただし冬のニュルブルクリンクは例外だ。そこでOPUSはポルトガルのTIL Motorsport Portgal社との提携を確立。冬の間は同社の協力を得て、温暖なポルトガルでチューニングパーツの開発やテストをおこなう環境を整えたのである。
1111psの最高出力を誇るブラックシリーズを世に送り出したOPUSだが、ドモガーラ氏は「GT R」や「GT R PRO」、さらには「GT S」といった、ブラックシリーズよりリーズナブルな価格で購入できるGTシリーズの存在も見逃してはいなかった。
ブラックシリーズは全世界で約1700人の選ばれたカスタマーにのみ販売されたというが、実際にブラックシリーズに興味を持っていた人物はその4倍以上の数に及んだといわれている。その彼らのためにドモガーラ氏は、数段階のステージでGTのチューニングをおこなったのである。
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