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最高速400キロオーバーのマクラーレン「スピードテール」はアメリカで走ることができない!? 落札価格が伸びない理由とは?

マクラーレン史上最速「スピードテール」の買い時とは?

 イギリスのマクラーレン・オートモーティブは、これまで「アルティメット」、「スーパー」、「スポーツ」の各シリーズでプロダクションモデルを生産してきた。正確にはその中には、限定生産を前提としたアルティメット・シリーズなども存在しており、それも一応のラインナップと考えてよいだろう。

 だがそのプロダクションモデルラインナップが先日見直され、もっともベーシックなスポーツ・シリーズは廃止。その代わりにより快適で、そしてもちろんスポーティな走りを実現する「GT」シリーズが加わることになった。すでに市場で大きな人気を呼んでいる「マクラーレンGT」などが、それに相当するモデルである。

アメリカでは「Show & Display」車両として登録すれば、年間4000kmは走行することが可能(C)2022 Courtesy of RM Sotheby's
アメリカでは「Show & Display」車両として登録すれば、年間4000kmは走行することが可能(C)2022 Courtesy of RM Sotheby's

 マクラーレンのモデルは、どれも快適さを重要な開発目標としたGT的な性格を持つと個人的には考えているが、その究極たるアルティメット・シリーズに存在する「スピードテール」もまた、その例外とはいえないのだろう。

「だろう」、という一文で話を終えているのは、それがかのマクラーレン「F1」ロードカーと同様のわずか106台のみ生産される限定車であり、そのプライスはベース価格で175万ポンド(現在のレートで約2億6824万円)。これにマクラーレン自慢のMSO(マクラーレン・スペシャル・オペレーションズ)による、さまざまな特別装備やオプションが加わると、その新車価格はさらに天文学的な数字になるスペシャルなクルマであるからだ。

●「スピードテール」の価格が思ったほど上がらない理由とは

 このスピードテールを、頻繁にオークションのメイン・アイテムとして出品しているのが、RMサザビーズだ。

 昨2021年からの記録を見ても、1月のアリゾナ、8月のペブルビーチ、そして今回紹介する2022年3月のアメリア・アイランドと、スピードテールをステージに乗せることに成功しているのだ。

 フェラーリなど他社の例を見れば、カスタマーとマクラーレンとの間にも、当然のことながら短期間における転売の禁止などに関する契約もあるに違いない。そうした車両をオークションの出品できるのは、オークショネアの実力に拠るところが大きい。

 今回の出品車は、106台中87台目に生産され、アメリカに渡った2台目の個体である。走行距離は出品された段階で274マイル(約440km)である。

 新車時に、オプション込みで255万1172ドル(邦貨換算約2億7000万円)というプライスタグが付けられた今回の出品車に、RMサザビーズは260万~300万ドル(邦貨換算約3億万円~3億5600万円)のエスティメートを設定。もちろんこのオークションは注目を集めたが、最終的な落札価格はこれには及ばない、270万ドル(邦貨換算約3億2000万円)という結果だった。

 最低落札価格を超えることはできたが、思ったよりも価格が上がらなかったのは、スピードテールが米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)によるレギュレーションによって、いわゆるアメリカの車検を満たさないということも影響しているのかもしれない。

 もしスピードテールを手に入れてアメリカの公道で運転したいと思っても、「Show & Display」車両として年間に2500マイル(約4000km)しか走行することが許されないのだ。しかもその申請はオーナー自身でおこなう必要がある。もちろん、この手の車両を年間4000km以上走行するオーナーも少ないだろうが……。

 マクラーレン史上もっとも速く、もっとも革新的なメカニズムとデザインを持つスピードテール。このクルマの真の評価が決まるのは、まだまだ遠い未来ということになるのだろう。おそらく車齢が25年を超えて、晴れてアメリカの地で走行できる日には、今以上のプレ値がついていることは容易に想像できるので、今のうちに手に入れて、倉庫で眠らせておくというのも賢い選択だと思うのだが。

Gallery【画像】世界限定たった106台中の87台目となるマクラーレン「スピードテール」を見る(29枚)

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