独特なスタイルでステージを魅了する元レーサー「ReN」
スタジアムクラスの会場を満杯にするバンドは、ツアー用にジェット機をチャーターし、大勢のサポートメンバーを従えてワールドツアーを敢行することも珍しくない。ステージには巨大なセットが組まれ、Marshallのキャビネットが壁のようにそびえ立つ光景は圧巻だ。
対象的に、コンパクトなセットでライブをおこなうアーティストもいる。今回紹介するReNはたったひとりでステージに立ち、バンドに負けない圧巻のサウンドを聴かせてくれるアーティストだ。彼が使うのは、アコースティックギターとループステーション。
リズム、リフ、コーラスなどをステージ上で随時録音し、それらの音をループさせながらいくつもの音を重ねていく。目の前で作曲されていくような感覚になるステージはスリリングで、観衆の目の前で絵を描き上げていくライブペインティングにも似た感覚だ。

●舞台は真夜中の新宿、クラシックミニがよく似合う
筆者が初めてReNの楽曲に触れたのは2017年。運転中にラジオから流れてきた「Life Saver」という楽曲に一瞬でヤラれ、クルマを路肩に停めて、その場でアルバムをダウンロードしたのを覚えている。そして自宅に戻り、彼のことを調べてみた。
ReNは10代前半でカートを始め、プロドライバーを目指して渡英。全英カート選手権で活躍し、フォーミュラでも活躍するが、大怪我を負いレーサーの道を断念したという。その後、UKミュージックと出合い、シンガーソングライターを志した。
「Life Saver」のMVの舞台は、真夜中の新宿。明治通りと新宿通りが交差する新宿三丁目交差点の伊勢丹前や、ゴールデン街が舞台となっている。
MVは首都高速中央環状線の長いトンネルを走り、初台南で首都高を下りるシーンから始まる。ReNがドライブするのはレーシーなカスタムが施されたクラシック「ミニ」。リアガラスには沼津にあるクラシックミニの専門店の名前が見て取れる。
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