VAGUE(ヴァーグ)

変態スーパーカー「チゼタ」が復活する証拠をつかんだ! すでに資金調達済みでガンディーニの承認待ち

チゼタが令和の時代に復活するかもしれないこれだけの理由

 スーパーカーの世界ではよくあることだが、最終開発の遅れから量産モデルの製造は度重なる遅延を余儀なくされた。そして、ビジネスパートナーでスポンサーでもあったモロダーがプロジェクトから降りてしまうのに、さほど時間はかからなかった。よって「チゼタ モロダーV16T」を名乗るのはプロトタイプ1台のみで、後に量産された10台(クーペ8台、スパイダー1台ともいわれている)は「チゼタV16T」として販売された。

プロトタイプ「チゼタ モロダーV16T」。テールエンドに誇らしげに「CIZETA MORODER」の文字が(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's
プロトタイプ「チゼタ モロダーV16T」。テールエンドに誇らしげに「CIZETA MORODER」の文字が(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's

●復活の鍵はガンディーニ次第!?

 自転車操業だったチゼタは、1994年にモデナの工場を突然閉鎖し倒産。鳴りを潜めていたザンポッリは、2003年にファクトリーをカリフォルニア州ファウンテン・ヴァリーに移し、「チゼタ・アウトモビリUSA」を立ち上げた。だが書類上、ザンポッリは“従業員”に過ぎなかった。さらには、修理に預かった顧客のクルマを無断で転売したり、スタッフの賃金を未払いにしたばかりか債務を負わせたり、「税関法」および「環境と交通の保安規程」に違反したため車両を押収されてしまったり、と様々な事件と訴訟が待ち受けていた。

 また、面白いのは「チゼタ」の商標を巡って、「チゼタUSAオートモービル」社と訴訟になったほか、モロダーも独自に「チゼタ・モロダー・カー」を設立する混乱ぶり。チゼタV16Tスパイダーの生産を巡っては、チゼタ・アウトモビリUSAとは無関係な日本人がアメリカで経営していた会社に資金が振り込まれたり、輸出入において車両評価額を過少申告したりもして裁判になっているが、ここでは割愛する。

 波乱万丈をとおり越し、もはやミステリーだ。

 そんなザンポッリも2021年7月に他界。もうチゼタの名は、オークションでしか聞くことはない……。と思いきや、ドイツ在住のイタリア人ビジネスマン、アントニオ・モンデッリが新生チゼタの生産を目論んでいるという話が飛び込んできた。しかも、ドイツ銀行から4000万ユーロの資金調達が済んでおり、新生チゼタV16Tは既に「50km」のテスト走行も終えたとか。

 本格始動するか否かは、マルチェッロ・ガンディーニに新しいデザインを認めてもらえたら、と摩訶不思議な話になっているそうだ。V16エンジンは新たにターボチャージャーを4基搭載し、ボディにはカーボンタブを用いるといわれている。スーパーカーおとぎ話となるのか、チゼタがようやく羽ばたけるのか、見守りたい。

Gallery 【画像】変態V16エンジン搭載スーパーカー復活⁉ 「チゼタV16T」を見る(15枚)
通勤ラッシュで「前抱え」はどうなの!? 持ち方問題に賛否! みんなの意見は?

page

  • 1
  • 2

RECOMMEND