カーボンファイバーで世界初のアイテムを作ったブランドTecknomonster
ここ数年、とくにこの2年は世界規模で状況が激変し、ブランドに求められるもの、ブランドの在り方が問われる環境となったことを感じています。幸い、わたくしどもの取引先は継続しているものの、「あのメーカーが廃業した」、「あのブランドが日本から撤退する」といったニュースが各国から続々と届いております。

●ブランドが生き残るために必要なもの
そんな中、変わらず好調にお客様からのご注文を集めているブランドのひとつが、イタリアの「Tecknomonster(テクノモンスター)」。テクノモンスターはカテゴリー的にはバッグを専門としたブランドです。
彼らの物作りにはひとつの絶対的な特徴があり、その特徴を究め抜いて来たが故に他ブランドの追随を許さず、ラグジュアリー業界において独自のポジションを確保し続けています。その絶対的な特徴とは、メインの素材としてリアルカーボンファイバーを使っていること。
ご存知の方も多いですが、カーボンファイバーは鉄の10倍の比強度を持ち、それでいて軽量、撥水性が高く温度変化にも強い素材であるため、宇宙航空事業やスーパーカーのパーツとしても使われています。反面、加工が非常に難しいこともあってその製品化に成功した作り手は数が少ないのが現状です。
●世界初のスーツケースはなぜ生まれたのか
テクノモンスターの創業者にしてCEOのジャコモ・ヴァレンティーニ氏は、日本でも有名なバッグブランド「オロビアンコ」を立ち上げた人物です。
世界を股にかけて活躍して多忙な彼は、旅先でしばしばスーツケースやキャリーバッグが故障することに辟易していました。スムーズに移動できないストレス、修理先を探したり新しいものを買い求める時間や労力、費用のロス。そうしたものが自分のビジネスに、ひいては人生そのものにどれだけの悪影響をもたらすか……。
「スーツケースの故障が人生に及ぼす影響力」という発想は、一年の多くを旅先で過ごす彼ならではの視点だったのかもしれません。しかしどれだけ名のとおったラゲッジ ブランドの品であっても、彼が理想としたタフさを備えてはいませんでした。
「無いのであれば、自分が作ろう」、そう決意した彼が取り組んだのが、カーボンファイバーをボディに持つ世界初のスーツケース作りだったのです。
page