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アストンマーティン寺嶋正一氏に訊く「セールス好調な理由は“007”と“F1”! これからのカスタマーサービス」とは【単独インタビュー:前編】

コロナ禍が続いた2021年、アストンマーティンが好調だった理由とは

 ブランド初となるSUVである「DBX」のデリバリーが、ようやく2021年にスタートしたアストンマーティン。その他のラグジュアリーブランドがSUVをリリースしたことで販売台数が飛躍的に伸ばしているが、アストンマーティンにも同様の変化があったのだろうか。

アストンマーティンに関わること30年近くという寺嶋正一氏に、自動車業界にとっても変革の時期であった2021年を振り返って頂いた
アストンマーティンに関わること30年近くという寺嶋正一氏に、自動車業界にとっても変革の時期であった2021年を振り返って頂いた

──2021年までを振り返ってみて、アストンマーティンの販売台数などに大きな変化はあったのでしょうか?

「2021年の販売実績は非常に良く、日本は前年比で200%を達成しました。その1番の理由は、DBXが非常に好調だったことです。もちろん、スポーツカーの方も順調でした。DBXとスポーツカーの割合は、おおよそ5:3といったところです。ただし世界的には、もう少しスポーツカーの方が割合が高いでしょうか。

 スポーツカーではヴァンテージ、DBS、DB11はほぼ同じぐらいの台数で、DB11が若干多いといった感じでしょうか。実はDB11は、2015年のデリバリーから現在に至るまで、好調をキープしています」

──引き続きコロナ禍であった2021年に好調をキープできた理由は、何にあるとお考えですか?

「コロナ禍において絶好調だったのは、DBXが2021年からデリバリーが開始されたという事がもっとも大きな要因でしょう。DBXは発表から納車までに2年位かかりました。その納車がようやく2021年から始まったのですが、2019年と2020年に受注したものがすべてデリバリーされたのが2021年です。さらにその後も順調に受注が伸びており、好調を維持している状態です」

──DBXへの日本の期待が大きかったということでしょうか?

「はい、日本でのDBXの初速が良かったのは、新しいものが好きという日本人の特性だからでしょうか。そもそもアストンマーティンが初めてSUVを出すということへの期待が高かったのですが、実際のDBXが期待どおりの内容だったので、販売につながったようです」

映画『007』シリーズは、アストンマーティンにとっても大きなプロモーションとなっている
映画『007』シリーズは、アストンマーティンにとっても大きなプロモーションとなっている

●F1参戦と『007』が追い風になった

──ほかに、2021年の販売が好調だった理由はございますか?

「どれだけ影響があったかのか数値化はできていませんが、フォーミュラ1(F1)にメーカーとして参戦しているということが、ブランドの認知につながっていると思います。

 F1では、2戦に1度の割合で、メディカルカーとしてDBX、またセイフティカーとしてヴァンテージがオフィシャルカーとして起用されています。F1に参戦しているということと加え、現行モデルをF1のレース中継などをとおして見ることができるわけですから、この露出もひとつの要因としてあったと思います。

 また、コロナ禍で上映が延期されていた映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』が封切りされたのも大きかったですね。映画『007』は、アストンマーティンとして1番影響の大きいプロモーションなんですね。劇中にはDB5だけでなく、DBSやヴァルハラも登場しており、実際にDBSの販売台数が伸びました。こうしたこともあって、非常にブランド全体として注目度の高い1年だったと思います」

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