BMWがついに最後のV12モデルを発表!?
たっぷりの空気を吸い込んで、たっぷりの燃料を燃やして、という大排気量多気筒エンジンはパワーの象徴だった。そして、12気筒エンジンはごく一部のスポーツカーや高級車にしか搭載されることはなく、富の象徴でもあった。

12気筒エンジンの歴史を紐解くと、イギリスのパットニー・モーター社が1904年にレースボート用として開発に成功したのが最初と思われる。2名の創業者の名前をとって“クレイグ・ドーウォルド”エンジンと呼ばれていたという。1909年には、ルノーが12気筒エンジンを完成させるも、それは自動車用ではなく航空機用のものとしてだった。
一般には自動車用の12気筒エンジンが登場したのは1913年のことといわれている。イギリスのサンビーム・モーター・カー社が最高速トライアルをするために、排気量9リッターのV12エンジンを開発したのである。そして1920年には、サンビームが最高速度200マイル(320km/h)に挑むため、航空機用の18.2リッター(!)V12エンジンを転用した「350HP」が作られた。
●V12を搭載することに意義がある
さて、12気筒エンジンを搭載した“量産車”が投入されたのは、1915年のパッカード・ツインシックスからだ。ツインシックス以降、高級車メーカーによる12気筒エンジンの採用が活発化した、といってもいいだろう。
12気筒エンジンの利点は高回転型だったり、最高出力だったり、バランスに優れている、などといわれているが、ともかく、排気量の大きさ、気筒数の多さは「大は小を兼ねる」ということなのだろう。そして無駄の美学こそが、富裕層にウケる所以でもあった。必要か否かではなく、買えるから……、という世界観だ。
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