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ヤマハとトヨタが「水素V8エンジン」を本気でつくった! EV並みにエコでガソリン車のように楽しい水素エンジンとは

エコさは電気自動車ばりで、楽しさはガソリン車なみ

 環境規制と自然保護という波に飲み込まれながら、世界中の自動車メーカーは次々と電気自動車を発売し、電動化を推し進めている。メルセデス・ベンツを始めとするいくつかのメーカーは、電気自動車のラインナップを増やし、やがてガソリン車やディーゼル車の販売を終了すると発表。日本ではガソリン車の販売を2030年から禁止を目指す、と打ち出している。

ヤマハが公開した水素を燃料にする自然吸気V8エンジン。水素は燃焼時に水になるため汚染物質は排出しない。ただ、エンジンオイルなどを使う点はガソリン車と同じなため、オイルの燃焼による汚染物質の発生は若干発生する(C)ヤマハ発動機
ヤマハが公開した水素を燃料にする自然吸気V8エンジン。水素は燃焼時に水になるため汚染物質は排出しない。ただ、エンジンオイルなどを使う点はガソリン車と同じなため、オイルの燃焼による汚染物質の発生は若干発生する(C)ヤマハ発動機

 すなわち、エンジンの回転と加速、エキゾーストサウンドなどを楽しめるガソリン車は、絶滅危惧種になることが決まってしまったのだ。エンジンを愛するクルマ好きにとっては悲劇的なことだ。

●水素V8エンジンはリアミッド用か!?

 しかし、2022年2月にヤマハが世界初公開したV8エンジンが、希望の光になるかもしれない。このV8エンジンで注目したいのは、水素を燃料とする「水素エンジン」であることだ。いままであった水素を発電用に使う燃料電池車とは異なり、ガソリンの変わりに水素をシリンダー内で燃やして稼働させる、という仕組み。2021年9月には同じ仕組みの水素4気筒エンジンを搭載した「カローラ」がスーパー耐久シリーズ2021に参戦したことは記憶に新しい。

 この水素V8は、トヨタとヤマハが共同開発したもので、レクサスの「LC500」などに採用されている2UR型エンジンをベースに改良を加えたもの。なかでも、Vバンクの内側から延びて1本のパイプへ集約されるエキゾーストシステムは圧巻だ。

 しかも上に伸びたうえ、後部方向にも伸びていることから、フロントに搭載するのは難しいと考えられる。つまり、ミッドシップを想定したモデルではないかと想像できる。ヤマハによると、この構造は高周波で非常に特徴的な排気音を生み出す事ができるという。

 水素エンジンはガソリン車の代用になる上、水素ならではの魅力も備えている。例えば、ガソリンよりも水素のほうが、燃焼スピードが早く、結果的にエンジンのレスポンスが高いといわれている。さらに水素エンジンは、ガソリン車やディーゼル車に搭載されている、排ガスろ過装置のパティキュレート・フィルターが不要だ。エキゾーストノイズを濁らせたり静かにしたりするフィルターがなくなることで、サウンドに関してもガソリン車に劣らない、魅力的なものをもたらすだろう。

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 瞬時に最大トルクを発生させることができ、モーターの種類や個数次第で出力自体を大きくできるという、電気自動車の魅力も理解できる。だが、親しみがあり自ら操っている感覚を味わえる内燃機関がなくなるのは惜しいことだ。今後の水素エンジンの躍進に期待したい。

Gallery【画像】旧来のカーエンスーの救世主になるかもしれない「水素エンジン」の未来を見る(9枚)

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