ヘリコプターと航空機のいいとこどりした垂直離着陸機
「空飛ぶクルマ」は長年、子供たちをときめかせてきたフレーズのひとつだ。ただ、滑走路を必要とする飛行機のようなものよりも、一般的に親しまれているマルチブレードを持った「ドローン」を大型化した垂直離着陸機(VTOL)が覇権を握りそうだ。

クルマ業界だけでなくVTOL界においても「脱炭素」の流れは押し寄せていて、電動モーターだけで飛行するものは「eVTOL」と呼ばれている。ヴォックス・エアクラフトというベンチャー企業は、既存のジェット燃料と蓄電池で飛ぶハイブリッド、もしくは蓄電池オンリー、という多様なVTOLを開発中。
また、ニーズがあればSAF(サスティナブル・オルタナティブ・フューエル:持続可能な代替燃料)や水素についても研究・開発する、と時代の流れを逃さないスタンスでもある。
●30年以上の開発実績があるヴォックス・エアクラフト社
ヴォックス・エアクラフト社自体が設立されたのは2017年のことだが、実に30年以上に渡ってVTOLの開発に取り組んでおり、いくつかの特許も出願・取得している実力派である。
COOで共同創業者である、ブライアン・モーガン氏がヴォックス・エアクラフト社の基本技術の特許を取得している。
主翼の“付け根”に当たる部分に4機の離着陸用電動ターボファンを備え、ターボプロップエンジンで駆動するリアローターが前方への推力を発生させる。この組み合わせ、実はホンダが2021年9月に発表したeVTOLと似ている。離着陸と推進のパワーユニットを使い分けることでVTOLの安全性が向上するほか、航続距離や飛行速度の向上にもつながる。
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